MX Master 4 と 3S の違い
公開日 最終更新
この記事の結論
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MX Master 4
★ 4.6
触覚フィードバックとActions Ringを使い込む人、ラバーの経年劣化を避けたい人
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MX Master 3S
★ 4.5
静かで高機能なマウスが欲しいだけの人。値下がりを狙える今が買い時
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目次
結論から書きます。多くの人は MX Master 3S で足ります。
MX Master 4 で増えたのは触覚フィードバックとActions Ringの2つだけで、スクロール・センサー・バッテリーといった日常的に効く部分は据え置きです。それで約7,000円高い。
ただしラバーのベタつきが構造的に解消されたという、スペック表に出にくい改善があります。長く使うならここが効きます。
変わったのは実質3点
前提として、この2機種は同じシリーズの連番です。形もホイールも対応ソフトも共通なので、比較は「どちらが優れているか」ではなく**「増えた分に約7,000円を払うか」**という形になります。
1. 触覚フィードバックとActions Ring
4の目玉です。側面の花びら模様の部分を押すと振動が返り、画面に8つのショートカットが円形に表示されます。Photoshopなどのクリエイター向けアプリにはプリセットが用意されています。
仕組みとしては、本体内のアクチュエータが操作に合わせて短い振動を返します。スマートフォンの画面をタップしたときの反応と同じ考え方です。物理ボタンではないのに押した感触が返るので、「押したかどうか分からない」というタッチ操作の弱点がありません。ここは実際によくできています。
ただし使う人を選びます。 アプリごとに8つの操作を覚えて使い分ける習慣がある人には効きますが、コピー・ペースト・タブ切り替えくらいしか使わないなら持て余します。
もうひとつ、見落とされやすい前提があります。Actions Ringはロジクールの設定ソフト(Logi Options+)が動いていて初めて機能します。 常駐ソフトを増やしたくない人や、会社のPCで自由にソフトを入れられない人には、価格差ぶんの機能が最初から使えません。ここは買う前に確認しておくところです。
2. 表面素材がラバーではなくなった
スペック表には出ませんが、長く使う人にはこれがいちばん大きい変更です。
3Sの側面はラバー素材で、湿度や皮脂の影響で数年後に表面が粘つくことがあります。清掃である程度は戻せますが、進行すると元には戻りません。ロジクールの上位マウスで長年言われてきた弱点です。
4は硬質プラスチックとシリコンに変わり、この問題が構造的に消えています。
ただし、ラバーはもともと滑りにくさのために選ばれていた素材でもあります。置き換わったことで握ったときの摩擦感は同じではありません。数年後のベタつきと引き換えに、初日の食いつきは変わる可能性があります。グリップ感を最優先する人には、単純な改善とは言い切れないところです。
3. レシーバーがUSB-Cになった
3Sの付属Logi BoltレシーバーはUSB Type-Aです。最近のノートPCはUSB-Aポートが1つもない機種が増えているので、変換アダプタかハブが必要でした。4はType-Cになっています。
Bluetooth接続で使うなら関係ありませんが、レシーバー接続のほうが遅延と安定性で有利なので、そこを重視する人には判断材料になります。
なお、レシーバーの規格自体はどちらもLogi Boltで共通です。Logi Bolt対応の機器は1つのレシーバーにまとめられるので、すでに同じレシーバーでキーボードもつないでいるなら、端子の形が変わってもポート運用が分断されるわけではありません。
このほか、ボタンが1つ増え、水平スクロールホイールの位置も見直されています。
触覚フィードバックは「静音」とは別の軸の話
ここは混同されやすいので、独立させて書きます。
静音マウスには、クリック音を減らすと押した手応えも一緒に減るというトレードオフがあります。音の正体はスイッチが跳ね返るときの打音なので、そこを吸収すれば音は消えますが、指に返っていた確証も同時に薄くなります。静音マウスに替えた人が「押せたのか分からない」と言うのは、この構造から来ています。静音側の考え方は静音マウスを3軸で順位付けした記事に整理しました。
振動フィードバックは、この構造に対して音を増やさずに手応えだけを足す方向の解です。物理的に跳ね返る音を出すのではなく振動で通知を返すので、深夜の自室でも通話中でも周囲に音を撒きません。静かな環境で作業する人ほど噛み合う仕組みだと言えます。
ただし、ここで期待をひとつ下げておく必要があります。4の振動は、通常の左右クリックの手応えを補うためのものではありません。 Actions Ringのように、画面上の操作に対して反応を返す用途が中心です。「静音クリックの物足りなさが振動で解決した」わけではなく、静音性そのものは3Sと4で同等です。この記事の比較表でも、静音性のスコアは両方4.5で並んでいます。
まとめると、「静かなマウスが欲しい」という動機に対して4は答えになっていません。静音は3Sの時点で足りていて、4が足しているのは別の軸です。ここを取り違えると、価格差で買ったものが期待と噛み合いません。
変わっていない点のほうが多い
ここが判断の要です。毎日使う機能はほぼ全部据え置きです。
- MagSpeedホイール — ラチェットとフリースピンの自動切り替え。3Sと同じ
- センサー — 8000DPI、ガラス天板でも動作。3Sと同じ
- バッテリー — 最長70日。3Sと同じ
- 静音クリック — 4も静音スイッチ採用。3Sと同じ
- 多台数切替とFlow — 3台まで。3Sと同じ
3Sの発売から4までは3年ほど空いています。それだけ間があって基本部分が動いていないのは、手抜きというよりMagSpeedホイールとDarkfieldセンサーが先に完成していたからです。この2つはMX Masterというシリーズの中核で、ここを触らない限り、日常の操作感は世代が変わっても変わりません。
つまり**「3Sの完成度が高すぎて、変えるところがなかった」**というのが実際のところです。3Sの使い勝手はMX Master 3Sのレビューに、4を単体で見たときの評価はMX Master 4のレビューにまとめています。
スペックを横並びで比較する
| 項目 | LogicoolMX Master 4 | イチオシLogicoolMX Master 3S |
|---|---|---|
| 総合評価 | 4.6/5 | 4.5/5 |
| 本体サイズ | 約128.15 × 88.35 × 50.8 mm | 約124.9 × 84.3 × 51 mm |
| 重量 | 約150g(メーカー公称) | 約141g(メーカー公称) |
| センサー | Darkfield 200〜8000DPI(50DPI刻み) | 8000DPI。ガラス天板でも動作 |
| バッテリー | 650mAh・最長70日/1分充電で3時間使用 | フル充電で最長70日(メーカー公称) |
| 接続方式 | Bluetooth LE / Logi Bolt レシーバー(USB Type-C) | Bluetooth LE / Logi Bolt レシーバー(USB Type-A) |
| 新機能 | 触覚フィードバック+Actions Ring | なし(Actions Ring・触覚フィードバック非搭載) |
| 表面素材 | 硬質プラスチック+シリコン | ラバー(経年でベタつくことがある) |
| こんな人に | 触覚フィードバックとActions Ringを使い込む人、ラバーの経年劣化を避けたい人 | 静かで高機能なマウスが欲しいだけの人。値下がりを狙える今が買い時 |
| 購入先 |
どちらを選ぶか
3Sを選ぶべき人
静かで高機能なマウスが欲しいという動機なら、これで完結します。ホイールもセンサーもバッテリーも4と同じで、価格が安い。
さらに今は世代交代のタイミングで、旧モデルは値下がりしやすい時期です。同じ性能を安く買えるという意味では、むしろ今が買い時と言えます。
4を選ぶべき人
理由は3つに絞られます。
- ショートカットを大量に使う — Actions Ringが刺さる。アプリごとに8つ設定して使い分けられるなら投資に見合います
- 3Sのラバーがベタついてきた — 買い替えの明確な理由になります。同じ問題を繰り返さずに済みます
- USB-Cレシーバーが必要 — USB-Aポートのないノートを使っているなら地味に効きます
逆に、この3つのどれにも当てはまらないなら、差額を別のものに回すほうが体感は上がります。キーボードを替える、モニターアームを入れる、といったほうが作業環境への影響は大きいです。
LogicoolMX Master 3S
LogicoolMX Master 4
買い替えずに3Sを使い続ける手もある
いま3Sを持っている人には、4を買わずに不満だけを潰すという選択肢があります。4の3つの差分は、それぞれ別の手段である程度は埋まります。
ラバーのベタつき — 進行前なら、無水エタノールを含ませた布で拭くと表面の粘りは落ちます。ただし溶け出した成分を拭っているだけなので、時間が経てば再発します。買い替えの理由として成立するのは、拭いても数日で戻る段階まで進んだときです。まだ年に数回の清掃で済んでいるなら、急ぐ理由はありません。
USB-Aレシーバー — ノートPC側にUSB-Aがないだけなら、ハブか変換アダプタで足ります。3SはBluetoothでも接続でき、文書作成やブラウジングの範囲では差を感じる場面がほとんどありません。レシーバーにこだわる理由が競技性のあるゲームでないなら、ここは買い替えの根拠として弱いところです。
ショートカットが足りない — Actions Ringほどの数は出せませんが、3Sでも設定ソフト側でジェスチャーボタンに上下左右+押し込みの5操作を割り当てられ、アプリごとに切り替えることもできます。8つ必要なのか5つで足りるのかを先に数えてみると、価格差を払う理由があるかどうかがはっきりします。
逆に言えば、この3つで埋まらない不満が残ったときが買い替えどきです。先に3Sを使い倒してから判断しても、選択肢は減りません。
そもそもMX Masterが最適とは限らない
最後に補足です。この2機種はどちらも大きくて重い据え置き向けで、どちらを選んでも合わない条件があります。
持ち歩く前提なら、鞄に入れる形ではありません。同じロジクールの小型モデルとの違いはMX Master 3SとAnywhere 3Sの比較に書きました。手首の負担を減らしたいなら、被せ持ちの重いマウスは負担の方向を変えないので、トラックボールや縦型のほうが根本的に効きます。マウスを大きく振る低感度の使い方も、141gと150gのどちらにも向きません。
マウス全体の選択肢はエンジニアの作業に合うマウスを比較した記事にまとめました。
まとめ
増えたのは触覚フィードバックとActions Ring、そして素材とレシーバーの改善。基本性能は据え置き。
- ショートカットを使い倒す/ラバーのベタつきを避けたい/USB-Cが要る → 4
- それ以外 → 3S。同じ基本性能を安く買えます
- 「静かなマウスが欲しい」は4を選ぶ理由になりません。 振動フィードバックは静音とは別の軸で、静音性能は両機種とも同等です
「新しいから4」で選ぶと、7,000円ぶんの機能を使わずに終わる可能性が高いです。自分が上の3条件に当てはまるかどうかで決めてください。



