MX Master 3S と MX Anywhere 3S の違い
公開日
この記事の結論
- ・
MX Master 3S
★ 4.5
デスクに置きっぱなしで、長いコードや表計算を一日中スクロールする人
- ・
MX Anywhere 3S
★ 4.4
ノートPCと一緒に持ち歩く人、デスクが狭い人、手が小さめの人
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目次
結論から書きます。この2機種は「どちらが上か」ではなく、置き場所で決まります。
ホイールもセンサーも静音クリックも同じです。違うのはサイズと重さで、MX Master 3S が約141g、MX Anywhere 3S が約99g(いずれもメーカー公称)。デスクに据えるなら Master、カバンに入れるなら Anywhere です。
違いは実質「サイズと重さ」に集約される
まず数字を並べます。どちらもメーカー公称値です。
- MX Master 3S — 約124.9 × 84.3 × 51 mm/約141g
- MX Anywhere 3S — 約100.5 × 65 × 34.4 mm/約99g
重量差は約42g、高さの差は約17mmです。この高さの差が、実際にはいちばん効きます。
Master 3S は背中が高く盛り上がった形で、手のひら全体を乗せる前提の設計です。そのぶん薄型ノートのスリーブには一緒に入りませんし、カバンの中で他の荷物に押されて背面に傷が入ることもあります。Anywhere 3S は高さが約34.4mmと低く、ノートPCと同じスリーブに滑り込ませられる厚みに収まっています。
重さについても、42gの差は数字で見るより体感が大きい部分です。ただし重い=悪い、ではありません。据え置きで使うなら141gは「勝手に動かない安定感」として働きます。逆に持ち運ぶ人にとっては、カバンの重さがそのまま増える負債になります。
中身は同じ。差が付かない部分のほうが多い
ここが判断を難しくしている理由です。毎日触る機能はほぼ共通です。
- MagSpeedホイール — ラチェットとフリースピンが回転速度で自動的に切り替わる。両機とも同じ
- センサー — 8000DPI、ガラス天板でも動作。両機とも同じ
- 静音クリック — 高い帯域の音が抑えられ、会議中でも気にならない。両機とも同じ
- バッテリー — フル充電で最長70日(公称)。両機とも同じ
- 充電端子 — USB Type-C。両機とも同じ
- 多台数切替 — 最大3台を Easy-Switch で切り替え。両機とも同じ
つまり Anywhere 3S は「安い代わりに性能を削ったモデル」ではありません。同じ中身を小さい筐体に入れたモデルです。ここを誤解して「携帯用だから妥協」と考えると、選択を間違えます。
Master 3S の使い勝手そのものはMX Master 3S のレビューに詳しく書きました。ホイールとFlowの効き方はそのまま Anywhere 3S にも当てはまります。
操作系で差が付くのは横スクロールとボタン数
サイズ以外で明確に違うのは、ここだけです。
サムホイールの有無
Master 3S には親指の位置に横スクロール専用のサムホイールがあります。広い表計算、動画編集のタイムライン、横に長いガントチャートで、手を動かさずに左右へ送れます。
Anywhere 3S にはこれがありません。サイドボタンを押しながらホイールを回す、という二段階の操作で代用します。慣れれば実用になりますが、横スクロールの頻度が高い人ほど差を感じる部分です。逆に、縦スクロールしかしない人には関係ない差でもあります。
ボタン数
Master 3S は7ボタン+サムホイール、Anywhere 3S はチルトを含めて6ボタンです。アプリごとに操作を細かく割り当てて使い込む人は Master、進む・戻る・中クリックで十分な人は Anywhere で困りません。
レシーバーの扱い
Master 3S には Logi Bolt レシーバーが同梱されています。Anywhere 3S はBluetooth前提で、Bolt レシーバーは別売です。社用PCでBluetoothが無効化されている環境だと、この差が直接コストになります。
手の大きさと持ち方で相性が割れる
スペック表に出ない、しかし後から取り返せない要素です。
手が大きめ(手首から中指の先まで19cm以上が目安)の人は Master 3S が合います。手のひら全体が背中の山に乗り、親指がサムレストに自然に落ちます。この形にはまったときの安定感は、小型機では再現できません。
手が小さめ(17cm前後まで)の人は逆になります。Master 3S は本体を握り込めず、親指がサムホイールとサイドボタンの両方に届きにくくなります。押すたびに持ち直しが必要になると、「手を動かさずに操作が完結する」という利点が崩れます。Anywhere 3S なら小型なぶん、しっかり握り込めます。
持ち方でも変わります。Master 3S は明確にかぶせ持ち専用で、指先だけで支えるつまみ持ちには向きません。Anywhere 3S は背が低いぶん、つかみ持ち・つまみ持ちでも扱えます。
手首の負担そのものが気になっている段階なら、この2機種の比較より先に読むものがあります。マウスで手首が痛いときの対策にトラックボールや縦型を含めた選択肢をまとめました。
スペックを横並びで比較する
| 項目 | イチオシLogicoolMX Master 3S | LogicoolMX Anywhere 3S |
|---|---|---|
| 総合評価 | 4.5/5 | 4.4/5 |
| 本体サイズ | 約124.9 × 84.3 × 51 mm | 約100.5 × 65 × 34.4 mm |
| 重量 | 約141g(メーカー公称) | 約99g(メーカー公称) |
| ホイール | MagSpeed電磁気スクロール+サムホイール(横スクロール専用) | MagSpeed電磁気スクロール(サムホイールなし) |
| ボタン | 7ボタン+サムホイール | 6ボタン(チルト機能含む) |
| センサー | 8000DPI。ガラス天板でも動作 | 8000DPI。ガラス天板でも動作 |
| バッテリー | フル充電で最長70日(メーカー公称) | フル充電で最長70日(メーカー公称) |
| 接続方式 | Bluetooth Low Energy / Logi Bolt レシーバー同梱(USB Type-A) | Bluetooth Low Energy(Logi Bolt レシーバーは別売) |
| 充電 | USB Type-C | USB Type-C |
| こんな人に | デスクに置きっぱなしで、長いコードや表計算を一日中スクロールする人 | ノートPCと一緒に持ち歩く人、デスクが狭い人、手が小さめの人 |
| 購入先 |
第3の結論: 2台持ちにするという答え
ここまで読んで「どちらも捨てがたい」と感じたなら、それは判断力の問題ではありません。求めている性質が正反対だからです。
据え置き用途では重さが安定感になり、携帯用途では重さが負債になります。1台で両立させようとすると、必ずどちらかで妥協が出ます。
そこで現実的なのが役割を分けて2台持つやり方です。
- 自宅・オフィスのデスク → Master 3S を置きっぱなしにする。カバンに出し入れしないので傷も付かない
- 外出・出張・カフェ → Anywhere 3S をノートPCのスリーブに常駐させる。持ち出す判断すら不要になる
どちらも Easy-Switch で最大3台まで登録できるので、同じノートPCを両方に登録しておけば、置き場所を変えるだけで手に取るマウスが切り替わります。操作感(MagSpeedホイールと静音クリック)が共通なので、持ち替えたときの違和感も小さい。
もちろん出費は増えます。ただ「毎日カバンに141gのマウスを出し入れする」「外では仕方なく安いマウスを使う」のどちらかを続けるくらいなら、こちらのほうが日々のストレスは小さいはずです。
結論: どちらを選ぶか
LogicoolMX Master 3S
Master 3S を選ぶ人 — デスクに据えて使う。手が標準〜大きめ。横スクロールとボタン割り当てを使い倒す。Bluetoothが使えない環境がある。
LogicoolMX Anywhere 3S
Anywhere 3S を選ぶ人 — ノートPCと一緒に持ち歩く。デスクが狭い。手が小さめ、またはつまみ持ち寄り。縦スクロールが中心。
両方を選ぶ人 — 自宅と外出先の両方で長時間作業する。置き場所で自動的に使い分けたい。
なお、この2機種以外も含めて選び直したいなら、エンジニアの作業に合うマウスを比較した記事と、静音性を軸に順位付けした静音マウスのまとめのほうが視野が広がります。MXシリーズが唯一の正解というわけではありません。
サイズと重さ以外はほぼ同じ。だからこそ「どこで使うか」だけで決めていい、というのがこの比較の答えです。



