マウスで手首が痛いときの対策
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先に大事なことを書きます。すでに痛みが続いているなら、マウスを買う前に整形外科などで診てもらってください。 マウスは負担のかかり方を変える道具であって、治療器具ではありません。
そのうえでこの記事は、「これ以上悪化させないために作業環境をどう直すか」を扱います。順序が重要で、デバイスの買い替えは最後です。先にやるべき無料の対策が3つあり、それを飛ばして高いマウスを買っても効果は限定的だからです。
マウスで手首を痛める3つの原因
対策を選ぶには、自分がどれに当てはまるかを先に切り分ける必要があります。痛む場所と動作で見分けられます。
1. 前腕のねじれ(回内) — 手のひらを下に向けてマウスを握る姿勢は、前腕の2本の骨を交差させた状態です。この状態を1日中維持すると、前腕の外側から肘にかけて張りが出ます。肘の外側が痛むなら、これが疑われます。
2. 手首の背屈 — マウスに手を乗せたとき、手首が甲側に反っていませんか。手前が下がって手首が上向きに折れていると、手首を通る腱に圧がかかり続けます。手首の甲側や親指の付け根が痛むならここです。
3. 同じ動きの反復 — クリック、スクロール、細かいドラッグ。1つ1つは軽くても、1日に数千回繰り返せば負荷になります。特定の指だけが痛むなら反復が原因です。
この3つは対策がまったく違います。原因を特定せずにデバイスを買うと外します。 たとえば前腕のねじれが原因の人が軽量マウスに替えても、ねじれは何も変わりません。
デバイスより先に直す3つ(お金はかかりません)
1. 机と椅子の高さを合わせる
いちばん効くのにいちばん見落とされます。肘の角度が90度より狭くなっていると、前腕が持ち上がって手首に負担がかかります。
基準は、椅子に座って足の裏が床につき、肘が約90度になる高さです。多くの既製品の机は70〜72cm前後で固定されており、身長によっては数センチ高すぎます。この状態だと、どんなマウスを使っても手首が反ります。
椅子と机の高さの決め方はデスク環境を一から組み立てる手順をまとめた記事に順序込みで書きました。椅子側から見直すならワークチェアを4軸で順位付けした記事のほうが参考になります。
2. マウスを体の正面に寄せる
キーボードの右にマウスを置くと、腕が体から離れて肩から先が外に開いた姿勢になります。この状態は肩と前腕の両方に効いてきます。
対策は単純で、マウスを体に近づけることです。テンキー付きキーボードを使っているなら、テンキーレスに替えるだけでマウスが10cm以上体に寄ります。これは手首だけでなく肩の負担にも効きます。
3. ポインタ速度を上げる
同じ距離をカーソルが動くのに必要な手の運動量が、そのまま減ります。 無料でいますぐできる対策としては、効果が最も分かりやすい部類です。
ただし速すぎると狙った場所に止まらず、微修正が増えて逆効果になります。少しずつ上げて、一発で狙った場所に止まる範囲の上限を探してください。画面の端から端まで、手を大きく動かさずに届く速度が目安です。
それでも改善しないときの選択肢
環境を直しても負担が残るなら、デバイス側の変更を検討します。アプローチは大きく2つです。
前腕のねじれが原因なら:縦型マウス
握手をするような角度で持つ形状のマウスです。前腕の2本の骨が交差しない姿勢に近づくので、回内が原因の張りには直接効きます。
操作方法自体は通常のマウスと同じなので、移行のコストが小さいのも利点です。数日で慣れます。
一方で、手を動かして操作する点は変わりません。 肩や肘の移動量は減らないので、原因がそちらにある人には効きません。
LogicoolLogicool MX Vertical
手首と肩の移動量が原因なら:トラックボール
本体を固定してボールだけを転がすので、腕の移動がほぼゼロになります。 マウスパッドのスペースも要らなくなり、机が狭い人にも効きます。
親指操作タイプは傾斜角を変えられるモデルがあり、回内の軽減も同時に狙えます。ただし親指を酷使するので、すでに親指の付け根が痛む人には逆効果になりえます。
LogicoolLogicool MX Ergo S
親指を使いたくないなら、手のひら全体で大きなボールを転がすタイプになります。特定の指に負担が集中せず、左右対称形状なので左右の手を交代しながら使えるのも利点です。
KensingtonKensington SlimBlade Pro
どちらのタイプも慣れるまで1〜2週間は作業速度が落ちます。締め切り前に導入しないでください。 各製品の使い勝手をもう少し詳しく比べたい場合はエンジニアの作業に合うマウスを比較した記事にまとめています。
リストレストは「操作中に使うもの」ではありません
ここは間違えている人が多い部分です。
よくある使い方は、手首をリストレストに乗せたまま固定してマウスを操作するというもの。しかしこれは手首を支点にした動きを強めるため、手首への負担はむしろ増えます。
本来の使い方は、操作していない待機中に手を休ませることです。操作中は手首を浮かせ、腕全体を動かします。この使い分けができていないと、リストレストは対策にならないどころか悪化要因になります。
素材は、ジェルのように沈み込むものより硬めのほうが扱いやすいと感じています。沈み込むと手首の角度が安定しないためです。
休憩の入れ方
反復が原因の場合、デバイスを替えても回数が減らなければ意味がありません。効くのは休憩の頻度です。
長い休憩を1回取るより、短い中断を何度も入れるほうが効果があります。 30分に1回、20〜30秒手を止めて、指と手首を軽く伸ばすだけで違います。タイマーをかけないと確実に忘れるので、仕組みにしてください。
またショートカットキーを覚えるのも直接的な対策です。マウスを触る回数そのものが減ります。 コピー・貼り付け・タブ切り替え・ウィンドウ操作あたりを手に入れるだけで、1日のクリック数はかなり落ちます。
やってはいけないこと
痛みを我慢して続ける。 腱の炎症は使い続けるかぎり引きません。痛みが出ている間は作業量そのものを減らす必要があります。
サポーターで固定して作業を続ける。 固定は安静のための道具です。固定した状態で同じ作業を続けると、負担が別の場所に移るだけになります。
高いマウスを買って解決した気になる。 これがいちばん多い失敗です。前述のとおり、原因が姿勢や机の高さにあるなら、デバイスを替えても改善しません。買い物は最後の手段です。
まとめ
順序は次のとおりです。
- 痛みが続いているなら受診する — ここが最優先です
- 痛む場所から原因を切り分ける — 肘の外側なら回内、手首の甲側なら背屈、特定の指なら反復
- 無料の3つを2週間試す — 机と椅子の高さ、マウスを体に寄せる、ポインタ速度
- それでも残るならデバイスを変える — 回内なら縦型、移動量ならトラックボール
- 休憩とショートカットで操作回数を減らす
デバイスの買い替えは効きますが、それは原因が特定できている場合に限ります。 順序を守るほうが、結果的に早く楽になります。