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モニターが映らないときの切り分け手順

公開日

結論から書きます。モニターが映らない原因の大半は、ケーブル不良でも故障でもありません。 多くはモニターが信号の来ていない入力端子を選んだまま止まっているだけです。最初に押すべきは電源ボタンでも抜き差しでもなく、入力切替(Input/Source)ボタンです。

「信号がありません」は故障のサインではない

まず前提をひとつ。モニターに「信号がありません」「No Signal」と表示できている時点で、モニターは生きています。

そのメッセージを描画しているのは、モニター自身の電源回路とパネルと制御基板です。本当に壊れていればメッセージすら出ません。これは故障の通知ではなく、「いま選んでいる入力端子に映像が来ていない」という報告です。

症状の出方で、疑うべきものが変わります。

症状 最初に疑うもの
「信号がありません」と出て、しばらくすると省電力に入る 入力ソースの選択、またはケーブルの挿さり方
画面が真っ暗で、モニターのランプは点灯している 入力ソースの選択、またはPC側が出力していない
BIOS画面までは映るが、OS起動後に消える 解像度・リフレッシュレートの設定、またはドライバ
2台のうち片方だけ映らない PC側の端子、または接続情報の保持

入力ソースが疑わしい上の2行が最も多いというのがこの記事の立場です。順に潰していきます。

なぜ入力ソースの自動切り替えは働かないのか

いまのモニターはHDMIを2つとDisplayPortを1つ、といった具合に複数の入力端子を持ち、多くの機種が「信号が来ている端子を自動で選ぶ」機能を備えています。

にもかかわらず映らないのは、自動検出が「信号が来たことを検知して切り替える」動作だからです。検知のタイミングを外すと働きません。

  • 電源投入の順序 — モニターの電源を入れてからPCが信号を出すまでには数秒から数十秒の差があり、その間に全端子を走査し終えると、信号のない端子を選んだまま待機に入ります
  • 前回選んでいた端子を覚えている — 昨日までゲーム機を映していたなら、今日もその端子から起動します
  • 自動検出がオフになっている — 初期値でオフ、あるいはOSDの奥に設定がある機種があります

ここで映れば、ケーブルもPCも正常です。 買い物は不要で、この記事はここで終わりにしてください。

手順②③:挿し直しと、別の端子で試す

入力を一巡しても映らないなら、物理的な接続を疑います。

② ケーブルを挿し直す — DisplayPortは見た目で判断しない

いったん完全に抜いて、両端とも奥まで押し込み直します。

注意が要るのがDisplayPortです。DPのコネクタは左右にラッチのツメが張り出していて、ツメが掛かる手前で止まっていても、外見上はきちんと収まっているように見えます。 HDMIのように「浅い」と目視で分かりません。

判定はカチッという手応えです。無ければ半挿しです。抜くときはツメを押しながら引くのが正解で、押さずに引っ張ると端子を痛めます。規格ごとの帯域の考え方はHDMIとDisplayPortの違いに整理しました。

③ 別の端子・別のケーブルで試す

②で直らないなら、どこが悪いかを分ける作業です。変えるのは一度に1つだけ。

  1. モニター側の別の端子に挿す(HDMI1 → HDMI2) — 映れば端子側の問題
  2. 別のケーブルに替える — 映ればケーブルの問題
  3. 別の機器をモニターに繋ぐ — 映ればモニターは正常
  4. PCを別のモニターかテレビに繋ぐ — 映ればPCの出力は正常

3と4を両方やれば、モニター側かPC側かがほぼ確定します。

手順④⑤:解像度の範囲外と、GPU側の端子

ここからは道具では解決しない領域です。

④ 直前に解像度やリフレッシュレートを上げていないか

「設定を変えた直後から映らなくなった」なら、これが原因です。

モニターが対応していない解像度やリフレッシュレートを指定すると、映像信号は出ていても受け取れず、「入力範囲外」「Out of Range」と表示するか真っ暗になります。144Hz対応と書かれたモニターでも、その上限は解像度ごとに違うのが厄介なところです。

戻す方法は3つ。

  1. 15秒待つ — Windowsは解像度の変更後に確認ダイアログを出し、応答がなければ自動で元へ戻します。慌てて電源を切らず、そのまま待ってください
  2. セーフモード、または低解像度モードで起動する — そこから設定を戻せます
  3. 別のモニターかテレビに繋いで戻す — 手順③の予備の接続がそのまま使えます

BIOS画面までは映るのにOS起動後に消えるなら、まずこれを疑ってください。解像度とリフレッシュレートの関係はモニターのスペックの見方にまとめています。

⑤ GPUではなくマザーボード側に挿していないか

自作やBTOのデスクトップPCで、最も頻度の高い原因です。

グラフィックボードを積んだPCの背面には、マザーボードのI/Oパネルの映像端子とグラフィックボードの映像端子が上下に並んでいます。見た目は同じなので区別がつきません。

そしてグラフィックボードを装着した構成では、多くの環境でマザーボード側の出力が無効になります。 そちらに挿している限り何をやっても映りません。グラフィックボード側はケースの下寄り(拡張スロットの位置)にあり、迷ったらUSB端子やLANポートと隣り合っているほうがマザーボード側です。

挿し替えるだけで解決します。組んだ直後、グラフィックボードを増設した直後、ケースを開けて掃除したあとは、ここを最初に見てください。

片方だけ映らないデュアル構成の切り分け

2台のうち片方だけ映らない場合、モニター本体を疑う前に、接続を丸ごと入れ替えてください。 ケーブルと端子ごと、左右を交換します。

  • 症状が「映らなかったモニター」に付いて回る → そのモニター本体が原因
  • 症状が同じ側に残る(映らない場所が変わらない) → PC側の端子かケーブルが原因

もうひとつ効くのが出力方式の混在で、1台をHDMI、もう1台をDisplayPortで繋ぐ構成では片側だけ入力ソースの選択がずれていることがあります。手順①を両方のモニターに対してやり直してください。

スリープ復帰のたびに片方が消える場合

**「スリープ復帰のたび、あるいはモニターの電源を切るたびに片方が消え、ウィンドウが残った側へ全部寄る」**なら、これは別の問題です。

PCはモニターの接続情報(EDID)を読んで画面構成を決めています。DisplayPort接続ではモニターの電源が切れると信号線ごと切断され、PCが「モニターが取り外された」と判断してデスクトップを組み直します。 故障ではないので、ケーブルを替えても直りません。

対処は3段階です。

  1. モニター側のOSDで「DisplayPort ディープスリープ」「省電力」をオフにする
  2. モニターの電源を切らず、PCのスリープに任せる — 運用で回避する方法
  3. EDID保持器を挟む — モニター側が消えてもEDIDを保持し、PCに「まだ繋がっている」と見せます

3が後述の VGA-EDID2 の役割ですが、1と2で回避できるならそれが最も安いので先に試してください。 2台目の配置はデュアルモニターの配置に、2台目の選び方は2台目モニターの選び方に書きました。

切り分けと再発防止に効く5製品

評価軸は「切り分けのしやすさ/汎用性/導入の手軽さ/対応帯域/入手しやすさ」の5項目・5点満点。「良い製品か」ではなく「映らないという問題にどれだけ効くか」で点を付けていると読んでください。前提として、手順①で解決したなら何も買う必要はありません。

入力切替を手元に移す — SW-HDR8K21L

サンワサプライ

SW-HDR8K21L

総合評価4.4/5

評価

切り分けのしやすさ
4.5/5
汎用性
4/5
導入の手軽さ
4.5/5
対応帯域
5/5
入手しやすさ
4/5

こんな人にモニターの入力端子を2台のPCやゲーム機で奪い合っていて、電源投入のたびに「映らない」が起きる人。切替をモニター側のOSDボタンから手元の箱に移したいとき

ここが良い

  • 「自動切替」と「完全手動切替」を選べるのが、この記事の文脈では一番大きい。自動切替が誤動作して勝手に入力が飛ぶ環境では手動固定に、毎回モニターのOSDボタンを押すのが面倒な環境では自動に、と原因側に合わせて挙動を決められる
  • 切替の操作がモニター背面のOSDボタンから、手元に置ける本体ボタンへ移る。モニター側の入力切替ボタンは位置も反応も機種ごとにばらばらで、暗がりで手探りになりがちな部分を回避できる
  • HDMI 2.1の48Gbpsを通すので、4K/120Hzや8K/60Hzの構成に挟んでも帯域が切替器側でボトルネックにならない。切替器を挟んだ瞬間にリフレッシュレートが落ちる、という典型的なトラブルを避けられる
  • HDMI機器からのバスパワーで動くため、電源アダプタ用のコンセントを増やさずに済む。給電が不安定なときだけ付属のmicroUSBケーブルを足せばよい
  • メーカー公表で本体52g・厚さ15mmと薄く、モニター背面やデスク裏に貼り付けて隠せる。切替器を足したことで配線が余計に散らかる度合いが小さい

ここは惜しい

  • 8K/60Hzや4K/120Hzを実際に通すには、切替器の前後どちらもUltra High Speed HDMI認証ケーブルである必要がある。手持ちの古いケーブルを流用すると、切替器を入れたせいで映らなくなったように見えてしまう
  • 2入力1出力の一方向専用で、1台のPCから2台のモニターへ振り分ける使い方はできない。双方向が要るならSW-HDR8K21BDのような別型番になる
  • そもそも入力ソースの選択ミスが原因なら、モニター側のボタンを押すだけで解決する。切替器は「毎回押すのが面倒」を解消する道具であって、映らない原因そのものを取り除くわけではない
  • HDMI専用なので、DisplayPortで接続している側の切り替えには使えない。DPとHDMIが混在するデスクでは片側しかカバーできない

1台のモニターを2台のPCやゲーム機で奪い合っている人向けです。 この構成では電源を入れる順番が変わるたびに「映らない」が起き、そのたびにモニター背面のOSDボタンを探すことになります。この製品は切替操作を手元の本体ボタンへ移します。

大きいのは**「自動切替」と「完全手動切替」の2モードを選べる**ことです。自動切替が誤動作して入力が勝手に飛ぶ環境では手動固定に、毎回押すのが面倒な環境では自動に、と原因側に合わせて挙動を決められます。HDMI 2.1の48Gbpsを通すので4K/120Hzに挟んでもリフレッシュレートが落ちません。

弱点は3つ。4K/120Hzを実際に通すなら切替器の前後どちらもUltra High Speed認証ケーブルが必要で、古いケーブルを流用すると切替器を入れたせいで映らなくなったように見えます。2入力1出力の一方向専用で、1台のPCから2台のモニターへは振り分けられません。HDMI専用なのでDisplayPort側にも使えません。

そして入力ソースの選び間違いが原因なら、モニター側のボタンを押すだけで解決します。 これは「毎回押す手間」を消す道具であって、原因そのものを取り除くものではありません。キーボードとマウスまで共有するならKVMスイッチの比較が用途に合います。

ケーブルを疑いから外す基準の1本 — ECDH-HD21ES10BK

エレコム

ECDH-HD21ES10BK

総合評価4.5/5

評価

切り分けのしやすさ
5/5
汎用性
5/5
導入の手軽さ
5/5
対応帯域
4.5/5
入手しやすさ
5/5

こんな人に「ケーブルが原因かどうか」を潰すための基準になる1本を持っておきたい人。認証品を1本用意しておくと、以後の切り分けからケーブルを外して考えられる

ここが良い

  • 切り分けで一番効くのは「疑いのない1本」と差し替えることで、そのための基準品として認証取得品は素性がはっきりしている。Ultra High Speed HDMI Cable認証は48Gbpsを通す前提の試験を通っており、「8K対応」とだけ書かれた無認証品と違って結果を信用できる
  • 径が約4.5mmと細く1.0mと短いので、切り分け用に机の上で直接つなぎ替える作業がしやすい。モニター背面の狭い場所でも隣の端子を圧迫しない
  • HDMIなのでPC・ゲーム機・ドック・テレビと挿し先を選ばない。「別の機器につないでモニター側が生きているか確かめる」という定番の切り分けが、この1本で回せる
  • 価格.comのHDMIケーブル売れ筋上位に入り続けており、同シリーズで長さ違いの型番も揃っている。切り分けで問題なしと分かったら、そのまま常用の長さを買い足して規格を揃えられる

ここは惜しい

  • 1.0mは切り分け用としては十分でも常用には短い。PCを床置きしている構成では届かず、結局同シリーズの長い型番を買い直すことになる
  • 認証ケーブルでも、機器側がHDMI 2.1「対応」を名乗るだけで実際は帯域が足りない場合には効かない。ケーブルを替えても直らない領域が残る
  • ケーブルが原因で「まったく映らない」ケースは、実際にはそう多くない。断線していれば無反応、帯域不足なら解像度やリフレッシュレートが落ちるという形で出やすく、真っ先に買い替える対象ではない

手順③の「別のケーブルに替える」を、意味のある検証にするための1本です。

切り分けで効くのは素性の確かな1本と差し替えることです。古いケーブル同士で交換しても、どちらも怪しいままでは何も分かりません。Ultra High Speed HDMI Cable認証は48Gbpsを通す前提の試験を通っているので、「8K対応」とだけ書かれた無認証品と違い結果を信用できます。

径が約4.5mmと細く1.0mと短いため、机の上でつなぎ替える作業がしやすい。挿し先を選ばないので、「別の機器に繋いでモニター側が生きているか確かめる」という定番の切り分けもこの1本で回せます。

弱点は明確です。1.0mは切り分け用には十分でも常用には短く、PCを床置きしている構成では届きません。認証品でも、機器側がHDMI 2.1「対応」を名乗るだけで実際は帯域が足りない場合には効きません。

そして繰り返しますが、ケーブルが原因で「まったく映らない」ケースはそう多くありません。 容疑者リストからケーブルを外すための道具であって、第一の解ではありません。

DisplayPortの半挿しを手応えで潰す — CAC-DP1420BK

エレコム

CAC-DP1420BK

総合評価4.3/5

評価

切り分けのしやすさ
4/5
汎用性
3.5/5
導入の手軽さ
4/5
対応帯域
4.5/5
入手しやすさ
4.5/5

こんな人にDisplayPortで接続していて、半挿しやラッチの掛かり不良を疑っている人。PC直結の標準的な帯域を確保しつつ、抜け止めの効いた1本に揃えたいとき

ここが良い

  • ラッチ付きコネクタは、いったん奥まで入ればツメが掛かって固定される。DisplayPortで多い「半挿しなのに見た目では刺さっているように見える」状態が、カチッという手応えの有無で判別できるようになる
  • VESA認証のDisplayPort 1.4で、HBR3の32.4Gbpsを前提に選べる。PC直結で4K/120HzやWQHDの高リフレッシュを出すときに必要な帯域がここで揃う
  • 2.0mあるので、モニターがデスク上・PCが床置きという一般的な配置で長さ不足になりにくい。無理に引っ張って半挿しに戻る、という悪循環を断てる
  • DSCが効く組み合わせなら、GPUとモニター側の対応次第で32.4Gbpsの枠を超える表示にも届く。ケーブルを買い替えずにモニターだけ更新する余地が残る

ここは惜しい

  • ラッチは抜くときにツメを押さないと外れない。それを知らずに引っ張ると端子側を痛める危険があり、切り分けで頻繁に抜き差しする用途にはむしろ扱いづらい
  • DisplayPort端子はテレビやプロジェクターにはほぼ載っていない。PC以外につないで動作確認する切り分けには使えず、HDMI側も別に用意することになる
  • スリープ復帰でモニターを見失いウィンドウ配置が崩れる事象はDisplayPort全般で報告されており、ケーブルを替えても解決しない場合がある。この製品固有の欠点ではないが、DP接続を選ぶ以上ついて回る

DisplayPortで繋いでいて、半挿しやラッチの掛かり不良を疑っている人向けです。

ラッチ付きコネクタは奥まで入ればツメが掛かって固定されるので、手順②の**「半挿しなのに見た目では刺さっているように見える」状態を、手応えの有無で判別できる**ようになります。

VESA認証のDisplayPort 1.4で、HBR3の32.4Gbpsが前提。PC直結で4K/120HzやWQHDの高リフレッシュに必要な帯域が揃います。2.0mあるので、モニターがデスク上・PCが床置きという配置でも無理に引っ張って半挿しに戻る悪循環を断てます。

弱点は3つ。ラッチは抜くときにツメを押さないと外れず、知らずに引っ張ると端子側を痛めます。頻繁に抜き差しする切り分け用途にはむしろ扱いづらい。DP端子はテレビやプロジェクターにほぼ載っておらず、PC以外に繋いで確かめる切り分けには使えません。

そしてスリープ復帰でモニターを見失う事象はDisplayPort全般で報告されており、ケーブルを替えても解決しない場合があります。

症状が特定できてから買う — VGA-EDID2

サンワサプライ

VGA-EDID2

総合評価3.9/5

評価

切り分けのしやすさ
3.5/5
汎用性
2.5/5
導入の手軽さ
4/5
対応帯域
4/5
入手しやすさ
3/5

こんな人にDisplayPort接続で、スリープ復帰やモニターの電源オフのたびにPCがモニターを見失い、片方だけ映らなくなる・ウィンドウが片側に集まる人

ここが良い

  • DisplayPortで「モニターの電源を切ると、PCがモニターごと消えたことにしてウィンドウを全部もう片方へ寄せる」という挙動に対して、EDIDを保持し続けることで正面から効く。ケーブル交換でもドライバ更新でも直らなかった層の受け皿になる
  • ボタンを押して接続中のモニターのEDIDを学習させる方式なので、実際に使っているモニターの情報がそのまま保持される。汎用のダミープラグのように、実機と違う解像度を名乗って別の不具合を呼ぶことがない
  • DisplayPortのバスパワーで動き、消費電力は最大0.33W。ACアダプタもUSB給電も要らず、ケーブルの間に挟むだけで済む
  • 約13g・厚さ12mmと小さいため、モニター背面の端子に挿しっぱなしにしても目立たず、ケーブルの取り回しを邪魔しない
  • 4K/120Hzや1080p 240Hzまで通せるので、高リフレッシュのゲーミング構成に挟んでも表示条件を落とさずに済む

ここは惜しい

  • 用途が極端に狭い。「入力ソースの選び間違い」「半挿し」「端子の挿し間違い」といった映らない原因の大半には何の効果もなく、切り分けを一通り終えて症状が特定できてから買うべき道具
  • メーカー自身が全環境での動作を保証しておらず、EIZO製モニターは動作保証対象外と明記されている。手持ちの組み合わせで効くかどうかは、買ってみるまで確定しない
  • DisplayPort専用。同じ症状がHDMI側で起きているならHDMI用のVGA-EDIDを別に選ぶ必要があり、DPとHDMIが混在する環境では2個要る
  • 最大8Kは30Hzまでで、8K高リフレッシュの構成には帯域が足りない

この製品は、切り分けを一通り終えて症状が特定できてから買うものです。

効くのは1つの症状だけです。DisplayPortで**「モニターの電源を切ると、PCがモニターごと消えたことにしてウィンドウを全部もう片方へ寄せる」**という挙動に、EDIDを保持し続けることで正面から効きます。ケーブル交換でも直らなかった層の、最後の受け皿です。

ボタンを押して接続中のモニターのEDIDを学習させる方式なので、実機の情報がそのまま保持されます。汎用のダミープラグのように違う解像度を名乗って別の不具合を呼ぶことがありません。DPバスパワーで動き、公称約13g・厚さ12mmと小さく、4K/120Hzまで通せます。

弱点は率直に書きます。用途が極端に狭い。 入力ソースの選び間違い、半挿し、端子の挿し間違いといった原因の大半には何の効果もありません。さらにメーカー自身が全環境での動作を保証しておらず、EIZO製モニターは動作保証対象外と明記しています。 効くかは買ってみるまで確定しません。

DisplayPort専用なのでHDMI側で同じ症状が出ているなら別型番が要り、混在環境では2個必要です。症状が違う人が買うと、確実に無駄になる製品です。

ノートPCのUSB-C接続を直結で確かめる — KC-ALCDPR10

サンワサプライ

KC-ALCDPR10

総合評価4/5

評価

切り分けのしやすさ
4.5/5
汎用性
3.5/5
導入の手軽さ
4.5/5
対応帯域
3/5
入手しやすさ
4/5

こんな人にノートPCをUSB-Cでつないでいて映らない人。ドックやハブを外し、PCとモニターを1本で直結して原因がどちら側にあるかを確かめたいとき

ここが良い

  • ドックやハブを挟まずPCとモニターを直結できる。USB-C接続で映らないときは、ドック側の不良なのかPC側がDP Alt Modeに対応していないのかが混ざりやすく、直結して映るかどうかを見るだけで切り分けが一段進む
  • 双方向対応なので、DisplayPort出力のデスクトップからUSB-C入力のモバイルモニターへ流す確認にも同じ1本を使い回せる。片方向品を2本買う必要がない
  • ドライバのインストールが不要で、挿せば拡張・ミラーリングが使える。出先や会議室で「映らない」に遭遇したときの予備として鞄に入れておける
  • 径が約4.9mm・長さ約1mと細く短いため、切り分け作業でPCとモニターを近づけて直結するのに扱いやすい

ここは惜しい

  • 最大4K/60Hzまで。144Hz以上を狙う用途には帯域が足りず、常用するならDisplayPort直結を選ぶべき
  • USB-C端子があってもDP Alt Modeに対応していない機種があり、その場合はこのケーブルでも映像は一切出ない。ケーブルを買っても症状が変わらないことがある
  • PD給電やUSBハブ機能を兼ねないため、映像を出しながらノートPCを充電したいなら別の充電経路が要る。ドックの代わりとして常用するには機能が足りない

ノートPCをUSB-Cで繋いでいて映らない人の1本です。

USB-C経由で映らないとき、原因はドックやハブ側の不良なのかPC側がDP Alt Modeに対応していないのかが混ざります。対処がまったく違うのに、ドックを挟んだままでは区別できません。外して直結し、映るかどうかを見るだけで切り分けが一段進みます。

双方向対応なので、DisplayPort出力のデスクトップからUSB-C入力のモバイルモニターへ流す確認にも使い回せます。ドライバも不要で、出先で「映らない」に遭遇したときの予備として鞄に入れておけます。

弱点は帯域です。最大4K/60Hzまでで144Hz以上には足りず、常用するならDisplayPort直結を選ぶべきです。そしてUSB-C端子があってもDP Alt Modeに対応していない機種があり、その場合はこのケーブルでも映像は一切出ません。

PD給電も兼ねないので、映像を出しながら充電したいなら別の経路が要ります。直結で映ってドック側が原因だと分かったなら、ドッキングステーションの比較で選び直すのが次の一手です。

5製品を横並びで比較する

順位ではなく「どの原因に効く道具か」で読んでください。 強調しているのは、どの環境でも切り分けの基準として使える1本です。

製品比較表
項目サンワサプライSW-HDR8K21LイチオシエレコムECDH-HD21ES10BKエレコムCAC-DP1420BKサンワサプライVGA-EDID2サンワサプライKC-ALCDPR10
総合評価4.4/54.5/54.3/53.9/54/5
入出力2入力1出力(HDMI Type A)————
規格HDMI Ver2.1HDMI 2.1(Ultra High Speed HDMI Cable認証品)DisplayPort 1.4(VESA認証)—DisplayPort Altモード Ver.1.4
最大データレート48Gbps————
最大解像度8K/60Hz・4K/120Hz8K/60Hz・4K/120Hz8K/60Hz・4K/120Hz7680×4320(30Hz)/4K/120Hz/1080p 240Hz(接続機器による)4K/60Hz
HDCP1.4/2.2/2.3対応——HDCP1.4・HDCP2.2対応—
切替方式自動切替モードと完全手動切替モードの2WAY(本体ボタン操作)————
電源HDMIバスパワー駆動対応(付属microUSBケーブルでの給電を推奨)——DisplayPortバスパワー(外部電源不要)—
消費電力最大1.75W——最大0.33W(3.3V 0.1A)—
サイズW120.3×D45.1×H15mm——約W63.4×D25×H12mm—
重量約52g——約13g—
付属品microUSBケーブル 約76cm・取扱説明書兼保証書————
最大帯域—48Gbps32.4Gbps(HBR3)——
ケーブル長—1.0m2.0m—約1m(1.5m・3mの型番もあり)
ケーブル径—約4.5mm(スリムタイプ)約4.5mm—約4.9mm
対応機能—eARC・イーサネット対応DSC・HDR対応——
コネクタ形状—HDMI Type A オス-オス———
コネクタ——DisplayPort オス-オス(ラッチ付き)入力側 DisplayPortオス×1/出力側 DisplayPortメス×1USB Type-C オス - DisplayPort オス
機能———ボタン操作によるEDID学習(接続中モニターの情報を記憶して保持)—
変換方向————双方向対応(Type-C→DP/DP→Type-C)
給電————PD給電・USBハブ機能は非対応
こんな人にモニターの入力端子を2台のPCやゲーム機で奪い合っていて、電源投入のたびに「映らない」が起きる人。切替をモニター側のOSDボタンから手元の箱に移したいとき「ケーブルが原因かどうか」を潰すための基準になる1本を持っておきたい人。認証品を1本用意しておくと、以後の切り分けからケーブルを外して考えられるDisplayPortで接続していて、半挿しやラッチの掛かり不良を疑っている人。PC直結の標準的な帯域を確保しつつ、抜け止めの効いた1本に揃えたいときDisplayPort接続で、スリープ復帰やモニターの電源オフのたびにPCがモニターを見失い、片方だけ映らなくなる・ウィンドウが片側に集まる人ノートPCをUSB-Cでつないでいて映らない人。ドックやハブを外し、PCとモニターを1本で直結して原因がどちら側にあるかを確かめたいとき
購入先

まとめ

  1. 入力切替ボタンを押す — 映らない原因の大半はここ。全端子を一巡させる
  2. DisplayPortは見た目で判断しない — カチッという手応えが無ければ半挿し
  3. 変えるのは一度に1つ — 端子、ケーブル、繋ぐ機器の順に分ける
  4. 設定を変えた直後なら15秒待つ — Windowsは応答がなければ自動で元に戻す
  5. 自作機ならGPU側の端子を確認 — マザーボード側に挿すと何をしても映らない

買い物は最後です。 手順①から⑤に出費は要りません。それでも直らなかったときに、症状に合った道具を1つだけ足してください。

よくある質問

モニターの電源は入っているのに「信号がありません」と出ます。故障ですか?
まず故障ではありません。「信号がありません」というメッセージが出せている時点で、モニターの電源回路もパネルも制御基板も生きています。本当に壊れていれば、そのメッセージ自体が表示されません。このメッセージは「いま選んでいる入力端子に映像が来ていない」という意味なので、疑うべきは入力ソースの選択、ケーブルの挿さり方、そしてPC側の出力端子の3つです。モニター側の入力切替ボタンを押して、HDMI1・HDMI2・DisplayPortと順に切り替えるところから始めてください。
自動で入力を切り替えてくれる機能があるのに、なぜ手動で切り替える必要があるのですか?
自動検出は「信号が来たことを検知して切り替える」動作なので、検知のタイミングを外すと働かないためです。モニターの電源を入れてからPCが起動して信号を出すまでには数秒から数十秒の差があり、その間にモニターが全端子を走査し終えて、信号のない端子を選んだまま待機に入ることがあります。またモニター側の設定で自動検出そのものがオフになっている機種、省電力設定と組み合わさると検出をやめる機種もあります。自動が働くかどうかは電源投入の順序に左右されるので、手動で押すほうが確実です。
DisplayPortのケーブルは奥まで刺さっているように見えます。それでも半挿しはありますか?
あります。DisplayPortのコネクタは左右にラッチのツメが張り出しているため、ツメが掛かる手前で止まっていても、外見上はコネクタが端子に収まっているように見えます。HDMIのように「浅い」と見た目で分かりません。判定はカチッという手応えで、これが無ければ半挿しです。いったん完全に抜いて、端子の向きを合わせ、奥まで押し込み直してください。抜くときはツメを押しながら引きます。押さずに引っ張るとコネクタか端子を痛めます。
デュアルモニターで片方だけ映りません。映らないほうのモニターが壊れたのでしょうか?
切り分けが先です。2台の接続を入れ替えてみてください。ケーブルと端子ごと入れ替えて症状が「映らないほう」に付いて回るならモニター本体、症状が同じ側に残るならPC側の端子かケーブルが原因です。DisplayPort接続で、スリープ復帰やモニターの電源オフのたびに片方が消えてウィンドウが寄る場合は、また別の話になります。これはPCがモニターの接続情報(EDID)を見失う挙動で、ケーブル交換では直らないことがあります。
自作したデスクトップPCで、組み立て後にまったく映りません。どこを見ればいいですか?
グラフィックボードを積んでいるなら、ケーブルがマザーボード側の映像端子に挿さっていないかを最初に確認してください。ケースの背面では、マザーボードのI/Oパネルとグラフィックボードの端子が上下に並んでいます。グラフィックボードを装着した構成では、多くの環境でマザーボード側の出力が無効になり、そちらに挿しても映りません。グラフィックボード側はケースの下寄り、拡張スロットの位置にあります。挿し替えるだけで解決する、最も頻度の高い原因です。

この記事を書いた人

midori

PC周辺機器の仕様と売れ筋データを読み比べて、用途別の選び方に落とし込んでいます。実機を入手した製品は、記事にその旨を明記しています。

  • メーカー公表値と売れ筋データを突き合わせて比較
  • 欠点を長所と同じ密度で書く

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    会社PCと私物PCを1組のキーボード・マウスで回すためのKVMスイッチを5製品比較しました。まず手持ちモニターの内蔵KVMで足りるかを切り分け、切替の速さ・4K60Hz対応・USB機器の扱い・映像端子で選びます。

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  • ガイドモニター

    デュアルモニターの配置の決め方

    デュアルモニターの配置を4パターンに整理し、作業内容ごとの使い分けを解説します。左右対称に並べると首が疲れる理由と、縦置き・上下配置が効く場面・効かない場面まで具体的に書きます。

    2製品を比較

  • ガイドモニター

    2台目のモニターの選び方

    イチオシ★ 4.4

    ProLite XB2497HSN-B1J

    2台目のモニターは1台目と同じものを買うのが最も失敗しません。ただし本質は型番ではなく縦の解像度を揃えることです。スケーリングがずれる仕組み、サイズと縦置きの考え方、スタンドの高さと入力端子の確認まで、1台目のクラス別に整理します。

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