デスクの防音対策は机と床から始める
公開日

目次
結論から書きます。デスクまわりの防音は、壁に吸音材を貼る前に机の上と床から手を付けてください。 打鍵の振動は天板を通って脚に伝わり、脚から床に落ちます。壁に届くより先に机と床を経由しているので、デスクマットと床側の対策のほうが安く、先に効きます。
吸音と遮音は別物。ここを混同すると出費が無駄になる
防音の失敗でいちばん多いのが、吸音材を買って音漏れを止めようとすることです。この2つはやっていることが違います。
| 吸音 | 遮音 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 部屋の中で反射する音を材料に吸わせる | 音を壁の向こうへ通さない |
| 効くもの | 響き・反響・声のこもり | 隣室や階下への音漏れ |
| 決まる要素 | 材料の繊維と厚み、貼る面積 | 質量と気密(重さと隙間のなさ) |
| 代表的な手段 | 吸音フェルト、カーテン、ラグ | 壁の増し張り、隙間をふさぐ |
吸音材を壁一面に貼っても、隣の部屋に届く音はほとんど変わりません。 変わるのは部屋の中の聞こえ方です。反響が減って音が締まるので「静かになった」と感じますが、外へ出ていく量は減っていません。
逆に遮音は、重さと気密で決まります。だから同じ数千円を使うなら、吸音パネル1枚よりドアの隙間をふさぐほうが、音漏れという目的に対しては効きます。
この記事で扱う5製品も、役割で分かれています。デスクマット・防振・キャスター・防音タイルは振動の伝達を止める側、隙間テープは気密を上げる側、吸音パネルだけが部屋の響きを整える側です。狙う経路が違うので、どれか1つで全部が解決することはありません。
音は壁より先に、机と床から伝わる
在宅ワークの音の悩みは、たいてい打鍵音・椅子の動く音・通話の声の3つです。このうち打鍵音と椅子の音は、空気ではなく物を伝わって出ていきます。
キーボードを打つと、2種類の音が出ます。
- 空気を伝わる音 — キースイッチが鳴らす「カチャ」という音。耳に直接届く
- 物を伝わる音 — キーボードの底を打った衝撃が天板に入り、机全体を鳴らす低い音
問題は後者です。天板に入った振動は脚を伝って床に落ち、床のスラブを鳴らします。 集合住宅で階下に届くのはこちらで、しかも低い音は壁より床のほうがよく伝わります。
椅子も同じ経路です。キャスターが床を転がる音は、床に直接入力される振動なので、壁に何を貼っても関係がありません。
つまり、経路はこうなっています。
- 手 → キーボード → 天板
- 天板 → 脚 → 床
- 床 → スラブ → 階下
上流でせき止めるほど、安く済みます。 3の段階で止めようとすると床全面の工事になりますが、1の段階なら数千円のマットで足ります。壁への吸音パネルは、この経路のどこにも入っていません。だから最後なのです。
打鍵音そのものを小さくする話は打鍵音がうるさいときの対策に、スイッチの選び方は静音キーボードの比較にまとめました。この記事は「部屋側で受ける」側の対策です。
費用の安い順に並べた5つの手
やる順番は、費用の安い順で問題ありません。効く順とほぼ一致するからです。
| 順 | 手段 | 止める経路 | 賃貸適性 |
|---|---|---|---|
| ① | デスクマット | 打鍵 → 天板 | 敷くだけ |
| ② | 机の脚の防振 | 天板 → 脚 → 床 | 挟むだけ |
| ③ | 静音キャスター | 椅子 → 床 | 差し替えるだけ |
| ④ | ドアの隙間テープ | 空気 → 廊下 | 粘着跡に注意 |
| ⑤ | 吸音パネル | 部屋の中の反響 | 壁に穴・要確認 |
①から順に試して、気になる音が消えた時点で止めるのが最も無駄がありません。⑤まで全部やる必要がある人は、そう多くありません。
| 項目 | イチオシサンワサプライ200-MPD030 | ニトムズドア下部シールテープ E0401 | サンワサプライSNC-CAST | ピアリビング静床ライト | フェルメノン硬質吸音フェルトボード FB-8060C |
|---|---|---|---|---|---|
| 総合評価 | 4.5/5 | 4.3/5 | 4.4/5 | 4.4/5 | 4.1/5 |
| 素材 | 表面フェルト/裏面 天然ゴム | — | — | — | ポリエステル100%(高密度に圧縮成型した硬質フェルト) |
| サイズ | 90×40cm(60×30cmもあり) | 厚さ1mm×幅40mm×長さ92cm | — | 50×50cm(1枚単位で販売) | 80×60cm |
| 厚み | 4mm | — | — | 約9.5mm | 約9mm |
| 重量 | 約610g | — | — | 約1.5kg/枚 | 約580g |
| カラー | ブラック/グレー | 透明/ブラウン | — | — | — |
| 狙い | キーボードと天板の間に挟んで振動の伝達を断つ | 開口部を物理的にふさいで空気の通り道を減らす | 樹脂キャスターが床を叩く音と振動を樹脂より柔らかい輪で受ける | — | — |
| 材質 | — | アクリル系エラストマー(粘着剤はアクリル系) | 硬質ウレタンゴム製 | — | — |
| 対象 | — | ドア下部のすきま(アンダーカット) | — | — | — |
| 入数 | — | — | 5個 | — | — |
| 車輪径 | — | — | 50mm | — | — |
| 適合軸 | — | — | 軸径11.12mm・軸長26mm の差込式 | — | — |
| 対象床 | — | — | フローリングやPタイルなどの硬い床 | — | — |
| 遮音等級 | — | — | — | LL-40(メーカー表記) | — |
| 構造 | — | — | — | パイル層+ガラス繊維層を含むPVC系バッキング | — |
| 加工 | — | — | — | カッターで切って敷き詰められる | — |
| 生産国 | — | — | — | 日本製 | — |
| 形状 | — | — | — | — | 縁を45度カットした立体タイプ |
| 取り付け | — | — | — | — | ピンまたは両面テープ |
| 販売単位 | — | — | — | — | 1枚(カラーを選択、4枚・12枚セットは別ページ) |
| こんな人に | まず一番安く、打鍵の振動が天板に伝わるのを断ちたい人 | 費用をかけずに、部屋の外への音漏れを一番大きく減らしたい人 | 椅子を動かすたびのゴロゴロ音が階下に落ちるのを止めたい人 | 集合住宅で、机と椅子から床に落ちる振動を階下に伝えたくない人 | 部屋の反響を抑えて、通話の声を聞き取りやすくしたい人 |
| 購入先 |
手①:デスクマットで、打鍵の振動を天板で止める
最初の一手はここです。理由は3つあります。安いこと、敷くだけで終わること、そして経路のいちばん上流だからです。
キーボードの底面はプラスチックか金属で、机の天板も硬い板です。硬いもの同士が接していると、打鍵の衝撃はほぼそのまま天板へ入ります。あいだに繊維の層を挟むと、衝撃が繊維の変形に使われて、天板へ入る量が減ります。
フェルト+ゴムの2層で受ける
サンワサプライ
200-MPD030
総合評価4.5/5
評価
- 静音効果
- 4.3/5
- 導入コストの低さ
- 4.5/5
- 設置の手軽さ
- 5/5
- 賃貸適性
- 5/5
- 見た目の馴染みやすさ
- 4.5/5
こんな人にまず一番安く、打鍵の振動が天板に伝わるのを断ちたい人
価格・在庫は変動します。最新の価格はリンク先の販売ページでご確認ください。
ここが良い
- フェルトの繊維が打鍵の衝撃を受け止め、天板へ入る振動そのものを減らせる
- 裏面が天然ゴムで、マット自体が机の上を滑って共振する余地が少ない
- 敷くだけで工事も粘着もいらず、賃貸でも原状回復の心配がない
- 4mm厚があるので、キーボードのガタつきに由来するカタカタ音も抑えやすい
ここは惜しい
- フェルトは液体が染み込むため、飲み物をこぼすと元に戻しにくい
- 90×40cmではフルサイズキーボードとマウスを置くと余白がほとんど残らない
- 天板からの伝達は減らせても、キースイッチが出す空気音そのものは減らない
表面がフェルト、裏面が天然ゴムという構成です。この2層それぞれに役割があります。 フェルトは打鍵の衝撃を受け止める層、天然ゴムはマット自体が机の上で滑って共振するのを防ぐ層です。片面だけの薄いマットだと、マットごと動いて別の音が出ることがあります。
厚みは4mm。数字としては薄く見えますが、キーボードのガタつきに由来するカタカタという音まで含めて抑えられるのは、この程度の厚みからです。90×40cmと60×30cmがあり、90×40cmでも約610gなので、机の上に置いたまま動かすのも苦になりません。
弱点は3つあります。まずフェルトは液体を吸います。 飲み物をこぼすと元に戻しにくく、机で飲み物を飲む習慣があるなら覚悟が要ります。次にサイズで、90×40cmはフルサイズキーボードとマウスを並べると余白がほとんど残りません。テンキーレスなら余裕がありますが、フルサイズ派は実寸を測ってから選んでください。
そして最も重要な限界がこれです。天板への伝達は減らせても、キースイッチが出す空気音は減りません。 同じ部屋にいる家族に聞こえる「カチャカチャ」は、マットでは消えません。そちらはスイッチかキーボード本体を替える話になります。
素材ごとの違い(フェルト・PUレザー・コルク・PVC)や、大判サイズの選び方はデスクマットの比較にまとめています。防音目的なら、繊維系(フェルト)で、裏面に滑り止めがあるものを選べば外しません。
手②③:脚と椅子から床に落ちる振動を止める
集合住宅で、階下への音を本気で気にしているなら、ここが本丸です。
机の脚の下 — まずは汎用の防振ゴムで足りる
天板に残った振動は、脚を通って床に落ちます。脚の下に柔らかい層を1枚挟むだけで、この経路は細くできます。 使うのは汎用の防振ゴム(ゴム板、耐震マット、家具用のフェルト+ゴムの脚パッド)で構いません。数百円から千円台で試せます。
この段階でブランド品を勧めないのは、単品で信頼できる販売ページを持つ防振ゴムが見つからないからです。ホームセンターのゴム板で十分に役割を果たします。ここに数千円を使うくらいなら、次の床側の対策に回すほうが効きます。
椅子のキャスターを静音タイプに替える
サンワサプライ
SNC-CAST
総合評価4.4/5
評価
- 静音効果
- 4.2/5
- 導入コストの低さ
- 4.6/5
- 設置の手軽さ
- 4.4/5
- 賃貸適性
- 5/5
- 見た目の馴染みやすさ
- 4.4/5
こんな人に椅子を動かすたびのゴロゴロ音が階下に落ちるのを止めたい人
価格・在庫は変動します。最新の価格はリンク先の販売ページでご確認ください。
ここが良い
- 純正の硬い樹脂キャスターより床への当たりが柔らかく、転がり音が下がる
- 差し込むだけで交換でき、椅子を買い替えずに済む
- フローリングに傷が付きにくく、賃貸の原状回復リスクも下げられる
- 5個入りで一般的な5本脚チェア1台をそのまま置き換えられる
ここは惜しい
- 差込式の軸径・軸長が合わない椅子には付かず、事前確認が必須
- ウレタンは樹脂より摩耗が早く、長く使えば交換周期が来る
- カーペット床では転がりが重くなり、静音の恩恵も小さい
机が静かになると、次に気になるのが椅子を動かすたびのゴロゴロという音です。これも床に直接入る振動なので、壁の対策では止まりません。
標準で付いている硬い樹脂のキャスターを、硬質ウレタンゴムの車輪に差し替えます。硬いもの同士が当たっていた接点の片側を、柔らかい側に置き換えるという考え方です。5個入りで、一般的な5本脚チェア1台分をそのまま置き換えられます。差し込むだけなので、椅子を買い替える必要もありません。
副次的な効果として、フローリングに傷が付きにくくなります。賃貸の原状回復リスクを下げる意味でも効くので、防音と床の保護を同時に片付けられます。床の傷対策としての詳しい選び方はチェアマットの比較に書きました。
弱点は適合です。差込式の軸径と軸長が合わない椅子には物理的に挿さりません。 この製品は軸径11.12mm・軸長26mm、車輪径50mmです。買う前に今のキャスターを1本抜いて、軸の太さと長さを測ってください。ここを確認せずに注文すると、届いてから使えないと分かります。
もう2点。ウレタンは樹脂より摩耗が早いので、長く使えば交換周期が来ます。そしてカーペットの床では恩恵が小さいです。もともと樹脂の車輪が床を叩く音が出にくく、代わりに転がりが重くなるだけになります。
床側で、面ごと受け止める
ピアリビング
静床ライト
総合評価4.4/5
評価
- 静音効果
- 4.8/5
- 導入コストの低さ
- 2.8/5
- 設置の手軽さ
- 4/5
- 賃貸適性
- 4.8/5
- 見た目の馴染みやすさ
- 4/5
こんな人に集合住宅で、机と椅子から床に落ちる振動を階下に伝えたくない人
価格・在庫は変動します。最新の価格はリンク先の販売ページでご確認ください。
ここが良い
- 机の脚と椅子の下という、振動が床に落ちる一次経路をまとめて受け止められる
- 1枚1.5kgと重く、質量そのものが振動を止める側に働く
- タイル式なので必要な面積だけ買い足せ、汚れた1枚だけ交換できる
- 接着せずに敷けるため賃貸でも撤去でき、カットして机の脚まわりだけ敷くこともできる
ここは惜しい
- 1枚あたりの単価が高く、机まわりを覆うだけでもデスクマット数枚分の出費になる
- 厚み9.5mmぶん床が上がるので、椅子の座面高やドアの開閉に影響することがある
- チェアマットのような硬い天板ではないため、キャスター椅子は転がりが重くなる
- 床への振動には効くが、壁や天井を伝わる音には効果がない
脚の防振とキャスター交換でも足りないとき、あるいは最初から階下への配慮を最優先するなら、床側で受ける手段になります。
50×50cmのタイル式で、1枚あたり約1.5kg、厚みは約9.5mm。この重さが効きます。 遮音は質量で決まるので、軽い敷物を何枚重ねても振動は止まりません。パイル層の下にガラス繊維層を含むバッキングを持たせて、1枚に質量を集めた構造です。
タイル式であることの利点は3つあります。必要な面積だけ買い足せること、汚れた1枚だけ交換できること、そしてカッターで切って机の脚まわりだけに敷けることです。部屋全面を覆う必要はありません。机の脚4本と椅子の可動範囲だけを押さえれば、振動が床に落ちる一次経路はだいたいカバーできます。接着せずに敷けるので、賃貸でも撤去できます。
弱点は費用と厚みです。まず1枚あたりの単価が高く、机まわりを覆うだけでもデスクマット数枚分の出費になります。この5製品のなかで導入コストは最も重い選択です。
次に厚み9.5mmぶん床が上がります。椅子の座面高が変わり、ドアの開閉に干渉することがあるので、ドアの下端との隙間を先に測ってください。そしてチェアマットのような硬い板ではないため、キャスター椅子の転がりは重くなります。
手④:ドアの隙間 — 空気の音漏れはここが最大
ここから先は、振動ではなく空気を伝わる音の話です。通話の声、スピーカーの音、キースイッチのカチャカチャがこれにあたります。
空気の音は、通り道があればそこを回り込んで出ていきます。そして室内で最も大きく開いている通り道は、たいていドアの下端です。換気のために意図的に開けてある(アンダーカットと呼ばれます)ので、壁がどれだけ厚くてもここが抜けていれば意味がありません。
ニトムズ
ドア下部シールテープ E0401
総合評価4.3/5
評価
- 静音効果
- 4/5
- 導入コストの低さ
- 5/5
- 設置の手軽さ
- 4.3/5
- 賃貸適性
- 4/5
- 見た目の馴染みやすさ
- 4.6/5
こんな人に費用をかけずに、部屋の外への音漏れを一番大きく減らしたい人
価格・在庫は変動します。最新の価格はリンク先の販売ページでご確認ください。
ここが良い
- 室内ドアで最も大きく開いているのは下端の隙間で、そこを直接ふさげる
- ひと巻きで標準的な内開きドア1枚分(92cm)をまかなえる幅と長さ
- はさみで長さを詰められ、工具も工事もいらない
- 透明を選べば見た目がほとんど変わらない
ここは惜しい
- 音漏れは減っても壁を伝わる音には効かず、遮音性能そのものは上がらない
- 粘着材を使うため、賃貸では剥がしたあとの跡が残る可能性がある
- 厚さ1mmなので、床とドアの隙間が大きい部屋では埋めきれない
- ドアの開閉抵抗が増え、床材によっては擦れる
厚さ1mm×幅40mm×長さ92cmで、ひと巻きが標準的な内開きドア1枚分に相当します。はさみで長さを詰められ、工具も工事もいりません。 透明を選べば、貼ったことがほとんど分からない見た目に収まります。
この5製品のなかで最も安く、空気の音に対しては最も費用対効果が高い手段です。壁に吸音パネルを貼るより先に、ここを試すべき理由がそこにあります。
ただし限界もはっきりしています。遮音性能そのものは上がりません。 隙間をふさいで空気の通り道を減らしているだけなので、壁を通り抜ける音や、床を伝わる振動には効きません。打鍵の低い響きが階下に落ちる問題は、これでは解決しないということです。
賃貸では粘着材の跡が懸念です。剥がしたあとに残る可能性があるので、契約内容を確認してから貼ってください。物理的な制約もあります。厚さ1mmなので、床とドアの隙間が大きい部屋では埋めきれません。 そして隙間が埋まるぶん開閉抵抗が増え、床材によっては擦れます。
手⑤:吸音パネルは最後。効くのは反響であって遮音ではない
最後が壁です。順番が最後なのは、目的が音漏れなら、これは効かないからです。
フェルメノン
硬質吸音フェルトボード FB-8060C
総合評価4.1/5
評価
- 静音効果
- 3.6/5
- 導入コストの低さ
- 3.2/5
- 設置の手軽さ
- 3.6/5
- 賃貸適性
- 3.8/5
- 見た目の馴染みやすさ
- 2.8/5
こんな人に部屋の反響を抑えて、通話の声を聞き取りやすくしたい人
価格・在庫は変動します。最新の価格はリンク先の販売ページでご確認ください。
ここが良い
- 室内の反響を抑えるので、マイクに乗る反射音が減り通話が聞き取りやすくなる
- 1枚580gと軽く、押しピン程度で留められるため壁の下地を選ばない
- カラーが多く、1枚から買って効果を確かめてから増やせる
- カット済みの45度エッジで、複数枚並べても継ぎ目が目立ちにくい
ここは惜しい
- 吸音材であって遮音材ではなく、隣室や階下への音漏れはこれでは止まらない
- 壁に大きな面が並ぶため、部屋の見た目の圧が最も強い5製品中の1つ
- ピンでも壁に穴は開くので、賃貸では貼れる壁かどうかの確認が要る
- 1枚では面積が足りず、効果を実感するには複数枚必要で費用がかさむ
ポリエステル100%を高密度に圧縮成型した硬質フェルトで、80×60cm・約9mm厚・約580g。縁を45度カットした立体タイプなので、複数枚を並べても継ぎ目が目立ちにくくなっています。1枚580gと軽いので押しピン程度で留められ、壁の下地を選びません。
では何に効くのか。部屋の反響です。 硬い壁に囲まれた部屋では声が何度も反射し、その反射音がマイクに乗ります。相手側には、こもった聞き取りにくい声として届きます。吸音パネルを壁に入れると反射が減り、通話の声が聞き取りやすくなります。 オンライン会議が多いなら、ここは実利のある投資です。
マイク側の選び方と組み合わせると効果が分かりやすくなります。指向性の考え方はオンライン会議用マイクの比較にまとめました。部屋の反響を減らす(吸音)とマイクを口に近づける(集音)は、同じ問題への両側からのアプローチです。
弱点は4つあります。まず、繰り返しになりますが遮音材ではありません。 隣室や階下への音漏れはこれでは止まりません。
次に見た目です。80×60cmの面が壁に複数枚並ぶので、部屋の圧が最も強くなるのはこの製品です。デスクまわりの見た目を作り込んでいる人には、ここが最大の判断材料になります。
賃貸では設置方法が問題になります。ピンでも壁に穴は開くので、貼れる壁かどうかの確認が要ります。石膏ボードでない壁や、退去時の査定が厳しい物件では選べません。
そして費用です。1枚では面積が足りず、効果を実感するには複数枚必要になります。1枚から買えるのでまず1枚で試して、増やすかどうかを決めるという進め方ができるのは、この製品の良いところです。
まとめ
- 吸音と遮音を分ける — 音漏れを止めたいなら吸音材では解決しない
- 経路の上流から手を付ける — 打鍵 → 天板 → 脚 → 床、という順で伝わる
- 最初はデスクマット — 数千円、敷くだけ、賃貸でも問題なし
- 集合住宅なら床が本丸 — 脚の防振とキャスター交換、それでも足りなければ防音タイル
- 空気の音はドアの下から — 隙間テープは、空気の音に対しては最も安く効く
- 吸音パネルは会議の音質のため — 音漏れ対策として買うと期待を外す
全部やる必要はありません。 気になっているのが階下への響きなら①②③まで、通話の声が漏れるのが心配なら④、自分の声が相手に聞き取りにくいと言われるなら⑤、という切り分けになります。どの音を止めたいのかを先に決めてください。 それが決まれば、買うものは1つか2つに絞れます。



