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モニターの内蔵スピーカーは必要か

公開日

結論から書きます。モニターの内蔵スピーカーは、音質のための機能ではありません。机の上からスピーカーを1台減らすための機能です。 薄い筐体に収まるドライバーが外付けに勝つことは構造上ありえないので、判断軸は「音質を求めるか」ではなく「会議の相手の声が通れば足りるか」になります。

出力の数字を見ると、勝負になっていない

まず前提を数字で押さえます。この記事で扱う5製品のスピーカー出力は、2W×2から5W×2の範囲にすべて収まります。 最も余裕のあるS2725QCで5W×2、最小構成のLCD-A241DBとProLite XUB2492QSU-B1Aで2W×2。27型か23.8型か、3万円台か上位機かにかかわらず、この幅から出ません。

出力の幅が狭いのは、メーカーが手を抜いているからではありません。モニターは薄いほど評価される製品で、スピーカーに割ける空間が最初から限られているためです。

音の出方を決めているのは、W数よりも筐体です。低い音を出すには空気をたくさん動かす必要があり、そのためには振動板の面積と背後の容積が要ります。据え置きのPCスピーカーが奥行きのある箱の形をしているのは、その容積を確保するためです。モニターの内蔵スピーカーは、画面下部か背面のわずかな隙間に収められます。ここに容積はありません。

つまり内蔵スピーカーは、外付けスピーカーの安い代わりではありません。目的の違う装置です。目的は「机の上の台数を1つ減らすこと」で、そのために音質を犠牲にした構造をあらかじめ受け入れています。ここを取り違えると、買ってから「思ったより音が悪い」という当たり前の結論に着地します。

3つの分岐で決まる — 会議か、音楽か、ヘッドセットか

判断は好みではなく、自分がどの使い方に該当するかで決まります。3つに分けます。

会議と通知音だけなら、内蔵で足りる

Web会議の音声、メールやチャットの通知音、動画の内容確認。この範囲であれば、内蔵スピーカーの役割は果たせます。人の声は帯域が中音域に集中していて、低音の再生能力をほとんど必要としないためです。内蔵スピーカーが最も苦手とする帯域を、そもそも使いません。

この使い方をしている人にとって、外付けスピーカーは机を1つぶん占有し、電源とケーブルを1本ずつ増やし、電源のオンオフという手順を増やす装置になります。それらを消せることが、内蔵スピーカーの提供している価値のすべてです。

ただし音量の余裕は機種で差が出ます。2W×2の機種では、相手のマイクが遠い会議で音量を最大近くまで上げることになり、その領域では歪みが出やすくなります。会議の頻度が高いなら、出力に余裕のある機種を選ぶ意味があります。

なお、自分の声を相手に届ける側は内蔵スピーカーとは別の問題です。モニターにマイクは載っていないので、そちらはオンライン会議用マイクの話になります。

音楽と動画なら、外付けを前提に組む

作業中に音楽を流す、映画やライブ映像を観る。この使い方なら、内蔵スピーカーは主役になれません。前の章で書いたとおり、筐体の容積がないからです。

このとき内蔵スピーカーをどう位置づけるかというと、**「外付けの電源を入れていないときに音が出る手段」**です。通知音のためだけに外付けスピーカーを常時つけておくのは無駄なので、普段は内蔵、聴くときだけ外付け、という切り替えが成立します。外付け側の選び方はPCスピーカーのおすすめに整理しました。

この使い方をするなら、あとで説明する出力先の切り替えやすさが効いてきます。切り替えが面倒だと、結局どちらか片方しか使わなくなるためです。

ヘッドセット常用なら、内蔵の有無は無関係

会議も音楽もヘッドセットで完結している人にとって、内蔵スピーカーが鳴る場面はほとんど残りません。この場合、内蔵の有無を選定条件から外してよいというのが素直な結論です。画面の性能と価格で選んでください。

例外は2つあります。ヘッドセットの充電が切れた日と、家族と一緒に画面を見る場面。このときに音が出る手段がゼロだと困るなら、内蔵は保険として意味を持ちます。ヘッドセット側の選び方はヘッドセットのおすすめにまとめました。

映像ケーブルで音が出る条件

「内蔵スピーカーがあるのに音が出ない」という相談の大半は、故障ではなく経路の問題です。

HDMIとDisplayPortは、映像と音声を同じケーブルで送れる規格です。この記事の5製品はいずれも、映像ケーブルを挿せば音声も一緒に通ります。音声用のケーブルを別に挿す必要はありません。規格ごとの帯域の違いはHDMIとDisplayPortの違いに整理しています。

USB Type-Cも同様です。DP Alt Modeに対応したUSB-Cケーブル1本で、映像・データ・給電・音声がまとめて通ります。この記事のDell 2機種がこの構成に対応していて、ノートPCをケーブル1本でつなぐと音声出力先も自動でモニター側に移ります。 「机の上から1台減らす」という内蔵スピーカーの目的に、最も素直に噛み合う形です。同じ考え方でハブ機能まで持たせる構成はUSB-Cハブモニターにまとめました。

例外が1つあります。アナログRGB(D-Sub 15ピン)は映像しか送れません。 古いPCをこの端子でつなぐ場合、音声は別経路になります。LCD-A241DBが音声入力端子を持っているのはこのためで、ステレオミニケーブルを別に挿すと内蔵スピーカーから鳴らせます。

つまずくのは「出力先の切り替え」

ここが実際に手間になる部分です。5製品で最も実用差が出るのもここでした。

PC側で出力先を選び直す必要がある

モニターをつないでも、音が自動でそちらに移るとは限りません。OSは「音が出せる装置」を複数認識していて、そのどれを使うかは設定で決まるためです。

  • Windows — 音量アイコンから出力先の一覧を開き、モニターの名前を選ぶ
  • macOS — システム設定のサウンド、出力タブでモニターを選ぶ
  • 会議アプリ — アプリ側にも独立したスピーカー設定がある。OSを変えても追従しないことがある

3つ目が見落とされがちです。OSの出力先を変えたのに会議アプリだけ古い設定が残っていて、「会議のときだけ音が出ない」という形で出てきます。

もう1つ、音量がOS側とモニター本体側で二重にかかる点も覚えておいてください。本体側の音量がゼロだと、OS側をいくら上げても鳴りません。モニターの操作ボタンかジョイスティックから本体側の音量を確認します。

ヘッドホン端子の有無が分かれ目になる

内蔵スピーカーとヘッドホンを行き来する運用なら、モニター側にヘッドホン端子があるかどうかで手間が変わります。

ヘッドホン端子あり ヘッドホン端子なし
有線ヘッドホンへの切り替え モニター側面や背面に挿す PC本体の端子まで戻る
PCが机の下にある場合 手の届く位置で完結 毎回かがむ
Bluetooth運用 影響なし 影響なし

この記事のDell 2機種(S2725DC・S2725QC)は、ヘッドホン端子を持ちません。 USB-C 1本でつながる利便性と引き換えに、モニター側からアナログで音を引き出す手段がない構造です。有線ヘッドホンをよく使うなら、ここは事前に把握しておく必要があります。

逆に振り切っているのがGigaCrysta EX-GDQ271JAで、4極CTIAのヘッドセット端子と3極の音声出力端子を別々に持ちます。内蔵スピーカー・ヘッドセット・外付けスピーカーの3系統をモニター側で使い分けられる構成で、今回の5製品では音声まわりの逃げ道が最も多くなっています。

内蔵スピーカー搭載モニター5製品

評価は「会議での聞き取りやすさ/音量の余裕/音声まわりの拡張性/画面としての完成度/価格の納得感」の5項目・5点満点で統一しています。音質そのものを点数にしていないのは、この記事の前提どおり、内蔵スピーカーを音質で選ぶ構図に意味がないからです。

内蔵スピーカー搭載モニター5製品の比較表
項目イチオシDellS2725DCDellS2725QCiiyamaProLite XUB2492QSU-B1AIODATAGigaCrysta EX-GDQ271JAIODATALCD-A241DB
総合評価4.6/54.4/54.3/54.2/53.8/5
画面サイズ27型ワイド27型ワイド23.8型ワイド27型ワイド23.8型ワイド
解像度2560×1440(WQHD)3840×2160(4K)2560×1440(WQHD)2560×1440(WQHD)1920×1080(フルHD)
パネルIPS方式・ノングレアIPS方式・ノングレア/sRGB 99%IPS方式・ノングレアAHVA(IPS系)ノングレアADS(広視野角)ノングレア
リフレッシュレート最大144Hz(48〜144Hz)最大120Hz最大100Hz最大180Hz(DisplayPort接続時)/144Hz(HDMI接続時)最大75Hz
スピーカー出力3W×2(ステレオ)5W×2(ステレオ)2W×2(ステレオ)2W+2W(ステレオ)2W+2W(ステレオ)
ヘッドホン端子非搭載非搭載搭載(ステレオミニジャック)搭載(ステレオミニジャック φ3.5mm・4極CTIA/マイク入力兼用)搭載(ステレオミニジャック φ3.5mm)
音声の通し方USB Type-C(DP Alt Mode)/HDMI/DisplayPortいずれも映像と一緒に音声が通るUSB Type-C(DP Alt Mode)/HDMI 2.1いずれも映像と一緒に音声が通るHDMI/DisplayPortから映像と一緒に音声が通るHDMI/DisplayPortから映像と一緒に音声が通るHDMIから映像と一緒に音声が通る/アナログRGB接続時は音声入力端子を併用
映像入力USB Type-C×1/HDMI 2.1×1/DisplayPort 1.4×1USB Type-C×1/HDMI 2.1×2HDMI×1/DisplayPort×1HDMI×2/DisplayPort×1HDMI×1/アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1
USB Type-C給電最大65W最大65W非対応(USBハブ用のType-Cのみ)非対応—
USBハブあり(Type-A/Type-Cダウンストリーム)あり(Type-A/Type-Cダウンストリーム)USB Type-A×2/USB Type-C×1USB 2.0 アップストリーム×1/ダウンストリーム×1—
スタンド調整昇降110mm/チルト-5〜21°/スイベル左右各30°/ピボット対応昇降130mm/チルト-5〜21°/スイベル左右各30°/ピボット対応昇降150mm/チルト/スイベル左右各60°/ピボット90°昇降130mm/チルト/スイベル±45°/ピボット±90°チルトのみ(昇降・ピボットなし)
VESA100×100mm100×100mm100×100mm100×100mm100×100mm
質量約6.48kg(スタンド込み)約6.71kg(スタンド込み)—約6.6kg(スタンド含む)約3.5kg
保証3年(無輝点保証・良品先出し)3年(無輝点保証・良品先出し)3年(製品登録で5年に延長)3年5年(パネル・バックライト含む、使用時間30,000時間まで)
HDR—HDR10対応—VESA DisplayHDR 400認証—
音声出力端子———別途ステレオミニジャック φ3.5mm(3極)を搭載—
輝度———400cd/m²(標準)250cd/m²(標準)
画素密度————約93ppi
音声入力端子————搭載(ステレオミニジャック φ3.5mm)
ちらつき対策————フリッカーレス(PWM調光ではなく電流調整による減光)
本体寸法————540×215×382mm(幅×奥行×高さ)
こんな人にノートPCをUSB-Cケーブル1本でつなぎ、会議の音とデスクの台数削減を同時に片付けたい人。スピーカー内蔵モニターの基準機内蔵スピーカーの出力に一番余裕を持たせたい人。4Kの精細さと、会議+動画くらいまでこなす内蔵音を両取りしたい人内蔵スピーカーは通知音と会議だけに使い、音楽や動画はヘッドホン端子から外へ出したい人。23.8型でWQHDの作業領域が欲しい人モニター側にヘッドセットを挿して、会議のたびにPC背面へ手を伸ばすのをやめたい人。ゲームと仕事を1台で兼ねたい人内蔵スピーカーに求めるのは通知音とWeb会議だけで、そのために出す金額を最小にしたい人。国内メーカーの5年保証を最安クラスで確保したい人
購入先

ケーブル1本で完結させるなら: S2725DC

Dell

S2725DC

総合評価4.6/5

評価

会議での聞き取りやすさ
4.2/5
音量の余裕
3.6/5
音声まわりの拡張性
2.5/5
画面としての完成度
4.8/5
価格の納得感
4.3/5

こんな人にノートPCをUSB-Cケーブル1本でつなぎ、会議の音とデスクの台数削減を同時に片付けたい人。スピーカー内蔵モニターの基準機

内蔵スピーカー付きモニターの基準機として最初に挙げます。USB Type-C 1本で映像・データ・65W給電・音声がまとめて通り、ノートPCを閉じたまま使う運用でも音声出力先がモニター側へ移ります。会議のたびに機器をつなぎ替える手順が消えるので、「1台減らす」という目的に対して最短の構成です。

出力は3W×2。内蔵としては標準よりわずかに上で、通知音とWeb会議に限れば役割を果たす水準にあります。27型WQHDという画面自体の完成度も高く、スピーカー目的で画質を妥協する構図にならないのが強みです。

一方でヘッドホン端子がありません。 有線ヘッドホンへ切り替えたくなったとき、モニター側に逃げ道がなく、PC本体の端子かUSB DACに戻ります。65W給電も高性能ノートPCには不足することがあり、高負荷時に充電が追いつかない場合があります。

出力に余裕を持たせるなら: S2725QC

Dell

S2725QC

総合評価4.4/5

評価

会議での聞き取りやすさ
4.4/5
音量の余裕
4.2/5
音声まわりの拡張性
2.5/5
画面としての完成度
4.7/5
価格の納得感
3.8/5

こんな人に内蔵スピーカーの出力に一番余裕を持たせたい人。4Kの精細さと、会議+動画くらいまでこなす内蔵音を両取りしたい人

5W×2は、内蔵スピーカーとしては上限に近い数字です。同価格帯に多い2W×2と比べると、同じ音量つまみの位置でも声が前に出ます。相手のマイクが遠い会議で音量を振り切らずに済む余裕が、ここに効いてきます。

4K解像度とHDMI 2.1×2を備え、ノートPCとゲーム機を挿しっぱなしにできます。入力を切り替えると音声の出どころも一緒に移るので、機器ごとにスピーカーを用意する必要がありません。USB-C 1本で映像・給電・音声が通る点はS2725DCと同じです。

ただし5W×2でも低音不足は解消しません。 筐体の薄さから来る制約は出力では埋まらないので、音楽鑑賞が目的なら結局は外付けになります。27型4Kはスケーリング前提で100%表示だと文字が小さく、内蔵スピーカーの出力差だけを理由に4Kまで上げると費用対効果は悪くなります。

割り切って端子を取るなら: ProLite XUB2492QSU-B1A

iiyama

ProLite XUB2492QSU-B1A

総合評価4.3/5

評価

会議での聞き取りやすさ
3.8/5
音量の余裕
3/5
音声まわりの拡張性
4/5
画面としての完成度
4.4/5
価格の納得感
4/5

こんな人に内蔵スピーカーは通知音と会議だけに使い、音楽や動画はヘッドホン端子から外へ出したい人。23.8型でWQHDの作業領域が欲しい人

内蔵は通知音と会議だけ、それ以外はヘッドホン端子から外へという割り切りに合う構成です。2W×2という最小構成で内蔵スピーカーの役割を満たし、そのぶん本体価格を抑えています。ヘッドホン端子があるので、PC本体が机の下や奥にあっても抜き差しは手の届く位置で完結します。

23.8型でWQHDのため縦1440pxが確保でき、27型WQHDと縦の情報量が揃います。会議ウィンドウと資料を並べても行数が足りなくなりにくいサイズ感です。昇降150mm・スイベル±60°・ピボット90°と可動域も広く、画面下部のスピーカー開口部を自分のほうに向ける調整がしやすくなっています。

短所は2つ。2W×2は音量の余裕がほとんどありません。 声の小さい相手との会議では最大音量近くまで上げることになり、その領域では歪みが出やすくなります。もう1つはUSB Type-Cでの映像入力・給電に非対応な点で、ノートPCをケーブル1本でつなぐ運用にはなりません。

音声の逃げ道を最大化するなら: GigaCrysta EX-GDQ271JA

IODATA

GigaCrysta EX-GDQ271JA

総合評価4.2/5

評価

会議での聞き取りやすさ
4/5
音量の余裕
3.2/5
音声まわりの拡張性
4.6/5
画面としての完成度
4.4/5
価格の納得感
3.9/5

こんな人にモニター側にヘッドセットを挿して、会議のたびにPC背面へ手を伸ばすのをやめたい人。ゲームと仕事を1台で兼ねたい人

モニター側に音声端子を集約したい人にはこれが答えになります。4極CTIAのヘッドセット端子と3極の音声出力端子を別々に持ち、内蔵スピーカー・ヘッドセット・外付けスピーカーをモニター側で使い分けられます。マイク入力を兼ねた端子があるので、スマホ用のマイク付きイヤホンをそのまま会議に使える点も実用的です。

HDMI×2とDisplayPortで入力が3系統あり、切り替えるだけで音声の出どころも移ります。輝度400cd/m²・DisplayHDR 400・180Hzと、画面としての素性も同価格帯のオフィス機より一段上です。

ここが良い

  • 4極CTIAのヘッドセット端子とは別に3極の音声出力端子を持ち、内蔵スピーカー・ヘッドセット・外付けスピーカーの3系統をモニター側で使い分けられる。今回の5製品のなかで音声まわりの逃げ道が最も多い
  • マイク入力を兼ねた端子があるため、スマホ用のマイク付きイヤホンをそのまま会議に使える。PC本体側の端子位置に縛られずに済むのは、本体を机の下に置いている環境で効いてくる
  • HDMI×2とDisplayPortで入力が3系統あり、入力を切り替えるだけで音声の出どころも一緒に移る。ゲーム機とPCで別々にスピーカーを用意する必要がない
  • 輝度400cd/m²・DisplayHDR 400・180Hzと、画面としての素性が同価格帯のオフィス機より一段上にある
  • 昇降130mm・スイベル±45°・ピボット±90°の多機能スタンドを標準装備する

ここは惜しい

  • スピーカー出力は2W+2Wで、27型としては控えめ。端子の充実ぶんだけ「内蔵で完結する」印象を受けやすいが、鳴りそのものは他の内蔵機と同じ土俵にある
  • USB Type-C入力を持たず、ノートPCへの給電やケーブル1本接続はできない。音声も含めてHDMIかDisplayPortに集約する構成になる
  • 特定販路向けの型番で取扱店が限られ、量販店では同等品が別型番(KH-GDQ271JAなど)で並ぶことがある。保証年数や付属品が違う可能性があるため型番の確認が要る
  • 背面ロゴのイルミネーションなどゲーミング寄りの装飾があり、落ち着いた在宅ワークのデスクには浮きやすい

注意点として、端子が充実しているぶん「内蔵で完結する」印象を受けやすいのですが、スピーカー出力は2W+2Wで他の内蔵機と同じ土俵です。また特定販路向けの型番で、量販店では同等品が別型番で並ぶことがあります。保証年数や付属品が違う可能性があるため、購入前に型番の確認が要ります。背面ロゴのイルミネーションなど、在宅ワークのデスクには浮きやすい装飾がある点も好みが分かれます。

台数を減らす目的だけに絞るなら: LCD-A241DB

IODATA

LCD-A241DB

総合評価3.8/5

評価

会議での聞き取りやすさ
3.6/5
音量の余裕
3/5
音声まわりの拡張性
4.2/5
画面としての完成度
3/5
価格の納得感
4.6/5

こんな人に内蔵スピーカーに求めるのは通知音とWeb会議だけで、そのために出す金額を最小にしたい人。国内メーカーの5年保証を最安クラスで確保したい人

「音のためではなく台数を減らすために内蔵を選ぶ」という判断に、最も素直に合う1台です。内蔵スピーカーを持つモニターとしては最安クラスで、外付けスピーカー1台ぶんの設置面積と電源が丸ごと不要になります。

ヘッドホン端子に加えて音声入力端子も持つので、アナログRGB接続の古いPCでも音声だけ別系統で入れられます。パネル・バックライト込みで5年保証(30,000時間まで)が付く点も、この価格帯では見落とされやすい強みです。

割り切りは明確です。輝度250cd/m²・最大75Hz・フルHDと、画面としての基本性能は控えめで、メイン画面に据えるには物足りません。スタンドもチルトのみで、画面の高さもスピーカーの向きも実質固定です。映像入力がHDMI×1とアナログRGB×1しかないため、複数機器の音声を集約する使い方にも向きません。サブ画面か、会議専用の1台として見るのが適正です。

使わないなら「内蔵なし」のほうが得

最後に、この記事で最も見落とされやすい実利を書きます。

内蔵スピーカーは無料で付いてくる機能ではありません。 ドライバー、アンプ、それを収める筐体設計。すべて原価に乗るので、同等の画面性能ならスピーカーを持たないモデルのほうが安く出せます。

実際、スピーカー非搭載を割り切った27型のフルHD機は、モニター全体のなかでも最安クラスに位置しています。サイズから選び直すなら27インチモニターのおすすめを見てください。

ここで注意したいのは、同じシリーズでスピーカーの有無だけが違う型番は多くないことです。実際の価格差にはパネルや端子構成の違いも混ざるので、「内蔵スピーカーは何円ぶん」という一般化はできません。言えるのは方向だけです。

まとめ

  1. 内蔵スピーカーは音質のための機能ではない — 机の上から1台減らすための機能
  2. W数は音量の天井、音質は筐体で決まる — 2W×2と5W×2の差は音量の余裕であって低音ではない
  3. 会議と通知音だけなら内蔵で足りる — 人の声は内蔵が苦手な低音を使わない
  4. 音楽と動画なら外付け前提 — 内蔵は「外付けを切っているときの手段」に格下げする
  5. ヘッドセット常用なら無関係 — 画面の性能と価格で選ぶ
  6. 有線ヘッドホンを使うならヘッドホン端子の有無を見る — Dellの2機種は非搭載
  7. 使わないと分かっているなら内蔵なしを選ぶ — 同じ画面性能を安く買える

内蔵スピーカーの評価は、音を聴く前に決まっています。 自分が机の上で何台の装置を使うつもりかという設計の問題であって、良い音か悪い音かの問題ではありません。

よくある質問

モニターの内蔵スピーカーで音楽を聴くのは無理がありますか?
無理があります。理由は出力よりも筐体です。低音は空気を動かす量で決まるため、振動板の面積と背後の容積が必要になりますが、モニターは薄くするほど評価される製品で、その容積を確保する場所がありません。出力も一般的な製品で2W×2から5W×2程度に収まっており、据え置きのPCスピーカーとは設計の前提が違います。音楽や映画を日常的に再生するなら、内蔵の有無にかかわらず外付けスピーカーを別に用意するのが素直です。逆に、通知音とWeb会議の音声だけであれば、この範囲でも役割は果たせます。
HDMIやDisplayPortでつなげば必ず音が出ますか?
モニター側にスピーカーがあり、PC側で出力先をそのモニターに切り替えていれば出ます。HDMIもDisplayPortも映像と音声を同じケーブルで送れる規格なので、音声用のケーブルを別に挿す必要はありません。つまずくのはたいていPC側の設定で、Windowsなら音量アイコンから出力先を選び直す、macOSならサウンド設定の出力タブでモニターを選ぶ必要があります。例外はアナログRGB(D-Sub)接続で、この端子は映像しか送れないため、モニターに音声入力端子がある機種では別途ステレオミニケーブルをつなぐことになります。
ヘッドホン端子のないモニターだと何が困りますか?
内蔵スピーカーから有線のヘッドホンやイヤホンへ切り替えたいとき、モニター側に挿す場所がありません。PC本体の端子か、USB接続のヘッドセットやUSB DACに戻ることになります。デスクトップPCを机の下に置いている環境では、そのたびに本体の背面や前面へ手を伸ばすことになるので、頻度が高いほど負担になります。Bluetoothのヘッドセットを使うなら影響はほぼありません。自分がどちらの運用になるかで、端子の有無の重みが変わります。
ヘッドセットを常用しています。内蔵スピーカーは無駄になりますか?
会議も音楽もヘッドセットで完結しているなら、内蔵スピーカーが鳴る場面はほとんど残りません。その場合は内蔵の有無を選定条件から外し、画面の性能と価格で選ぶほうが合理的です。ただし、ヘッドセットの充電が切れた日や、家族と同じ画面で動画を見る場面で音が出る手段がゼロになる点は把握しておいてください。内蔵スピーカーは「常用する装置」ではなく「音が出る手段が常に1つある状態」を作る保険として見ると、判断がぶれにくくなります。
内蔵スピーカーがある機種とない機種では、どのくらい価格が違いますか?
一般化できる金額は出せません。同じシリーズでスピーカーの有無だけが違う型番は多くなく、価格差にはパネルや端子構成の違いも混ざるためです。ただし方向は明確で、スピーカーを持たないモデルのほうが同等の画面性能なら安く出せます。実際に、スピーカー非搭載を割り切った27型のフルHD機はモニターの中でも最安クラスに位置しています。内蔵スピーカーを一度も使わない見込みなら、その割り切りは価格に返ってきます。
モニターを買い替えたら会議の音だけ出なくなりました。どこを見ればいいですか?
見る順序は、PC側の出力先設定、モニター側の入力と音量、会議アプリ側のスピーカー設定の3つです。OSの出力先がモニターになっていても、会議アプリは独自にスピーカーを選べるため、アプリ側だけ古い出力先が残っていることがあります。次にモニター本体の音量です。OSと本体で音量が二重にかかる構造なので、本体側がゼロだとOS側をいくら上げても鳴りません。入力を切り替えて使っている場合は、選んでいる入力に音声が乗っているかも確認してください。

この記事を書いた人

midori

PC周辺機器の仕様と売れ筋データを読み比べて、用途別の選び方に落とし込んでいます。実機を入手した製品は、記事にその旨を明記しています。

  • メーカー公表値と売れ筋データを突き合わせて比較
  • 欠点を長所と同じ密度で書く

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