モニターの電気代は輝度でほぼ決まる
公開日

目次
結論から書きます。モニターの電気代は輝度でほぼ決まります。 サイズや解像度の差より効きます。消費電力の大半をバックライトが占めていて、そこが輝度に直結するからです。しかも輝度を下げると目も楽になるので、節電と快適さが同じ方向を向く珍しい項目です。逆に、節電のためにモニターを買い替えるのは元が取れません。
電気代の計算式は1つだけ覚えればいい
必要な式はこれだけです。
消費電力(W) ÷ 1000 × 使用時間(h) × 電力量単価(円/kWh)
WをkWに直すために1000で割り、使った時間を掛け、単価を掛ける。それだけです。電力量単価は契約プランで変わりますが、目安として31円/kWhを置いて計算すれば大きくは外れません。
消費電力30Wのモニターを、1日8時間・月22日使う場合はこうなります。
- 30 ÷ 1000 = 0.03kW
- 0.03 × 8時間 × 22日 = 5.28kWh
- 5.28 × 31円 = 約164円/月
つけっぱなしにした場合も出しておきます。0.03kW × 24時間 × 30日 = 21.6kWh で、月670円ほどです。
サイズや解像度より輝度が効く理由
液晶モニターの消費電力は、大きく2つに分けられます。
1つはバックライト。 液晶パネルは自分で光らないので、背後のLEDを光らせてその光を透過させています。この光量が画面の明るさそのものなので、輝度設定を上げるほど素直に電力を食います。
もう1つは基板側。 信号処理、スケーラー、USBハブ、内蔵スピーカーなどです。こちらは表示している内容や輝度にほとんど関係なく、電源が入っていれば一定量を消費し続けます。
このうち可変なのはバックライトだけで、しかも比率としてはこちらが大きい。だから輝度を動かすと総消費電力が大きく動きます。輝度100%と50%で、機種によっては倍近い差が出ると報告されています。
一方でサイズや解像度の差は、思ったほど効きません。24インチと27インチは面積で3割ほど違いますが、同じ明るさに見えるまで光らせる電力の差はその程度に収まります。解像度に至っては、画素が増えても光らせる面積は同じです。「4Kだから電気を食う」より「初期設定の輝度が高すぎる」ほうが、はるかに大きな要因です。
カタログの消費電力欄の読み方はモニターのスペックの見方にまとめました。「標準時」と「最大」の2つが並んでいて、標準時が輝度いくつでの値なのかは書かれていないことが多い、という点だけ先に知っておいてください。
27インチクラスは実際どのくらいか
仕様表に載る数字はおおむね次のような並びになります。
| 項目 | 27インチクラスの目安 |
|---|---|
| 標準時消費電力 | 20〜40W程度 |
| 最大消費電力 | 標準時の2〜3倍 |
| スリープ時 | 0.5W前後 |
| 電源オフ時 | 0.3W前後 |
高輝度のHDR対応機やゲーミング機、USB-C給電付きのモデルはこれより上に振れます。USB-C給電はとくに効きます。 ノートPCに90W供給していれば、モニター自身の表示に使う電力より給電のほうが大きくなるからです。「モニターの電気代が高い」と感じたら、そこにPCの充電が混ざっていないかを先に切り分けてください。
先ほどの式に当てはめると、標準時30Wの機種を1日8時間・月22日で月164円、20Wなら109円、40Wなら218円です。上下しても月に100円程度という規模感になります。
有機EL・スリープ・待機電力の扱い
有機ELは表示している内容で変わる
有機ELには背後のバックライトがなく、画素そのものが光ります。つまり明るい画素が多いほど電力を食い、黒い画素はほとんど食いません。
結果として、液晶のように「輝度設定だけで決まる」構造になりません。白背景のドキュメントやブラウザを全画面で開いている時間が長い使い方では消費が増え、暗い映像を見ているときは下がります。
事務作業中心なら、この特性は不利に働きます。逆に言えば、ダークモードが電気代の面で意味を持つ数少ない場面でもあります。液晶ではダークモードにしてもバックライトは同じだけ光っているので、電力は変わりません。パネルごとの向き不向きは有機ELモニターの選び方に整理しました。
スリープと電源オフの差は誤差の範囲
上の表のとおり、スリープ時0.5W前後、電源オフ時0.3W前後です。差は0.2W程度しかありません。
0.2Wの差が24時間365日続いたとしても、年に1.8kWh。金額にして50円台です。
輝度を下げるのは目にも良い
ここが、この記事でいちばん実行してほしい部分です。
多くのモニターは初期設定が店頭向けにかなり明るく振ってあります。 売り場の強い照明の下で見劣りしないための設定で、自宅の部屋ではまず明るすぎます。この状態は電気を余計に食うと同時に、まぶしさによる目の疲れの主因にもなっています。
下げ方の目安は、白いコピー用紙を画面の横に立てること。 白背景のウィンドウと紙の白さが同じくらいに見えるところが適正です。たいていは下げる方向に動きます。
注意点が2つあります。
1つ目は、部屋を暗いまま輝度だけ下げないこと。 画面は楽になりますが、手元の書類やキーボードが見えなくなります。部屋を上げて画面を下げるのが正しい方向です。
2つ目は、輝度を下げたら逆に疲れる機種があること。 バックライトをLEDの点滅で制御している方式では、輝度を下げるほど点滅の割合が増えます。該当する場合は輝度以外の方法を先に検討してください。
具体的な設定手順はモニターの色設定に、目の疲れ側からの切り分けはモニターで目が疲れるときの対策にまとめました。節電のために輝度を下げるのではなく、目のために下げた結果として電気代も下がる、という順序で考えるほうが続きます。
自分のモニターの消費電力を測る道具
ここまで書いた数字は、あくまで一般的な目安です。輝度を下げてどれだけ変わるかは機種ごとに違います。 仕様表の標準時消費電力が輝度いくつでの値かも書かれていないことが多いので、確かめるには測るしかありません。
道具は使い方で4系統に分かれます。
記録を残して比べたいなら:スマートプラグ
輝度を変えた前後を比較するには、その場の数字ではなく履歴が要ります。日単位・月単位でグラフに残る製品なら、設定を変えた日を境に線がどう動いたかで判断できます。
TP-LinkTapo P110M
Matter対応で、後からスマートホームに組み込む余地も残ります。ただしWi-Fiは2.4GHz帯のみなので、5GHz専用の環境では初期設定でつまずきます。プラグ自身も通信で電力を使うため、厳密な測定値からはわずかに上振れします。
すでにSwitchBotを使っているなら
温湿度計やハブを持っているなら、アプリを増やさずに済むほうが結局続きます。
SwitchBotプラグミニ W2001400
Bluetooth接続にも対応するので、Wi-Fiが不安定な場所でも状態を読めます。難点は奥行き59mmという厚みで、机の裏や家具の背面のコンセントでは干渉することがあります。設置場所を先に測っておいてください。
アプリもアカウントも作りたくないなら
「輝度を変えた前後だけ確認して、あとは外す」という使い方なら、単体のワットチェッカーで足ります。
リーベックス節電エコチェッカー ET30D
挿せば本体の液晶に数字が出て、単価を設定すれば積算料金まで計算します。ただし測定可能負荷電力が5Wからなので、スリープや待機電力の領域は測れません。履歴も残らず、抜けば積算値も消えます。
デスク全体を常時表示したいなら
モニター単体ではなく、机の上の合計を常に見えるようにしておく方向です。
サンワダイレクト700-TAP071
タップとワットモニターが一体なのでコンセント口を余計に消費せず、輝度を変えた瞬間の変化がその場で数字として動きます。反面、表示は合計W数なので、モニター単体を知るには他の機器を切る手間が要ります。1W単位の表示で微小領域は読めません。
4製品を横並びで比較する
| 項目 | イチオシTP-LinkTapo P110M | SwitchBotプラグミニ W2001400 | リーベックス節電エコチェッカー ET30D | サンワダイレクト700-TAP071 |
|---|---|---|---|---|
| 総合評価 | 4.5/5 | 4.3/5 | 4.1/5 | 4/5 |
| タイプ | スマートプラグ(コンセント直挿し) | スマートプラグ(コンセント直挿し) | コンセント直挿しのワットチェッカー(アプリ不要) | ワットモニター内蔵の電源タップ |
| 通信 | Wi-Fi 2.4GHz(IEEE 802.11b/g/n)/Matter対応 | Wi-Fi 2.4GHz+Bluetooth | — | — |
| 定格 | 100〜240V・最大1500W/15A | 最大1500W | — | 15A・125V(合計1500Wまで) |
| 電力の記録 | アプリで当日・過去7日・月・年の履歴をグラフ表示 | アプリでリアルタイム表示と消費電力の統計 | — | — |
| 電気料金の試算 | 電力量単価を登録すると概算料金を表示 | — | — | — |
| 本体サイズ | 約38×66×40mm | 70×39×59mm | W66.5×H66.5×D32mm | — |
| 対応アシスタント | — | Alexa/Google Home/Siriショートカット/IFTTT | — | — |
| 測定項目 | — | — | 消費電力・積算使用時間・積算電気料金・1時間あたりの料金・積算使用電力量・積算CO2排出量の6種類 | — |
| 測定可能負荷電力 | — | — | 5〜1500W | — |
| 本体消費電力 | — | — | 1W以下 | — |
| 重量 | — | — | 約98g | — |
| 口数 | — | — | — | 6個口 |
| コード長 | — | — | — | 1.5m |
| 表示 | — | — | — | 0〜9999Wを1W単位でデジタル表示 |
| スイッチ | — | — | — | 個別スイッチ6個+一括スイッチ |
| その他 | — | — | — | 雷ガード・マグネット付き |
| こんな人に | モニターとPCの消費電力を日・月単位でグラフに残したい人。Matter対応なので後からスマートホームに組み込みたい人にも | すでにSwitchBotの温湿度計やハブを使っていて、電力の見える化を同じアプリにまとめたい人 | アプリもアカウントも作りたくない人。挿してその場で数字を読み、確認が終わったら外す使い方 | モニター・PC・周辺機器をまとめてつないだデスク全体の消費電力を、常に目に入る場所に表示しておきたい人 |
| 購入先 |
どれも向かない人がいます。 電気代の目安さえ分かればよく、輝度を下げる判断に数字の裏付けを求めない人です。その場合は測定器を買わず、この記事の計算式に仕様表の標準時消費電力を入れるだけで足ります。測定器そのものにも初期費用がかかることは、正直に書いておきます。
節電のためにモニターを買い替えるのは元が取れない
これは明確に書いておきます。
今使っている機種が30W、買い替え候補が20Wだったとします。差は10Wです。
- 10 ÷ 1000 × 8時間 × 22日 = 1.76kWh/月
- 1.76 × 31円 = 約55円/月、年にして約660円
モニターが3万円なら、差額の回収に45年かかります。その前に確実に寿命が来ます。
つまり**「電気代が気になるから買い替える」は成立しません。** 買い替えの理由は、解像度・サイズ・目の疲れ・接続端子・スタンドの可動といった使い勝手に置いてください。判断の順序はモニターの選び方に整理しています。電気代は、その決定に対する小さな補足材料にしかなりません。
一方で輝度を下げるのは費用ゼロです。同じ節電幅を、今日の設定変更だけで取れます。順序としてはこちらが先です。
まとめ
- 計算式は「W ÷ 1000 × 使用時間 × 単価」だけ — 単価は31円/kWhを目安に置く
- 27インチ1台なら月100〜200円台 — 金額の絶対値は小さい
- 効くのは輝度 — 消費電力の大半がバックライトで、サイズや解像度の差より大きい
- 有機ELは表示内容で変わる — 白背景中心の作業では不利に働く
- 待機電力は誤差 — スリープと電源オフの差は年に数十円
- 確かめたいなら測る — 記録が要るならスマートプラグ、その場限りならワットチェッカー
- 買い替えでは回収できない — 下げるなら設定で下げる
いちばん避けたいのは、節電を理由にモニターを買い替えることです。回収できません。そして次に避けたいのは、輝度を上げたまま我慢することです。電気代と目の負担を同時に払っていることになります。



