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キーボード掃除の手順と外していい機種の見分け方

公開日

結論から書きます。掃除を始める前に、自分のキーボードがキーキャップを外していい機種かを判別してください。 パンタグラフ式で無理に外すと爪が折れ、そのキーは二度と戻りません。判別さえ済めば、あとは「電源を切る→かき出す→吹き飛ばす→拭く」の順に進めるだけです。

まず「キーキャップを外していい機種か」を判別する

掃除の到達点は、キーキャップを外せるかどうかで決まります。 外せれば土台の溝まで露出し、外せなければ表層と隙間の掃除で止まります。

判別を飛ばして工具を突っ込むのが、この分野で最も多い事故です。

パンタグラフ式(ノートPC・薄型キーボード)— 外さない

ノートPCと、薄型のワイヤレスキーボードの大半がこれです。キーキャップの下にX字型の支持部品があり、キーキャップ側と本体側の両方に、樹脂の細い爪で噛み合っています。

この爪は薄く、真上に引き抜く力に耐える設計になっていません。折れると、キーキャップを載せても浮いたまま固定されず、そのキーだけ打鍵感が変わります。爪は単体では手に入らないことが多く、実質的に修理不能です。

サンワサプライは引抜工具TK-013の非対応条件として「パンタグラフ式(ノートパソコン)」を明記しています。 工具メーカー自身が使うなと書いている以上、ここは議論の余地がありません。

パンタグラフの人は、キーを外さない前提で掃除を組み立ててください。 ブラシとエアダスターと拭き取りの3つで完結させます。

メンブレン・メカニカルの標準型 — 外していい

デスクトップ用の一般的なキーボードと、メカニカルキーボードの多くは外せます。キーキャップがスイッチの十字軸(MX互換軸)に差さっているだけの構造で、真上に引けば抜けます。

ただし条件が2つあります。キートップが接着されていないことと、キートップの底辺の幅が短すぎないことです。これもTK-013の非対応条件としてメーカーが挙げているもので、安価なキーボードには接着されているものがあります。

外せる機種の代表例はメカニカルキーボードを4軸で順位付けした記事にまとめています。ホットスワップ対応をうたう機種であれば、キーキャップが外れることはほぼ確定と考えて構いません。

静電容量無接点(REALFORCE・HHKB)— 外せるが手順が別

こちらはキーキャップの下にコニックリング(円錐状のバネ)とスライダーが入っています。キーキャップを引き抜くと、機種によってはリングやスライダーごと持ち上がったり、逆さにしたときに転がり出たりします。

紛失すると、そのキーは入力できなくなります。メカニカルと同じ感覚で外すのが最も危険なパターンです。 方式そのものの構造差は静電容量無接点とメカニカルを比較した記事に書きました。

この方式のキーボードを掃除するときは、メーカーが公開している手順書を先に読んでください。汎用の記事の手順で進める製品ではありません。

電源を切る。通電したまま拭かない

ここは短く、しかしはっきり書きます。拭く前に必ず電源を切ってください。

理由は「濡れると壊れる」からではありません。通電しているかどうかで、壊れ方が変わるからです。

  • 電源が入った状態で水分が基板に届く → 回路がショートし、その瞬間に故障が確定する
  • 電源が切れた状態で水分が基板に届く → 完全に乾かせば復帰する望みが残る

同じ量の水が入っても、結果がここで分岐します。数秒の手間で、直る故障を直らない故障にしないで済みます。

道具を買う前に、家にあるもので試す

掃除用品を5つ紹介しますが、その前に買わずに済ませる方法を出しておきます。年に1〜2回しか掃除しないなら、この範囲で十分足ります。

  • 逆さにして軽く叩く — キーボードを裏返し、底面を手のひらで数回叩きます。パンくずと髪の毛はこれでかなり落ちます。最初にやるべき工程で、道具は要りません
  • 使い古しの歯ブラシ — キーの谷をかき出す用途なら、毛先の開いた歯ブラシで代用できます。毛が硬いので、キートップの側面をこすりすぎないよう力を抜いてください
  • 水で湿らせて固く絞ったマイクロファイバークロス — 皮脂汚れの大半は水拭きで落ちます。絞りが甘いと隙間に垂れるので、握って水が出ない状態まで絞ります
  • 掃除機のブラシノズル — 吸い出しに使えますが、外れたキーキャップを吸い込む事故があります。ノズルの先にストッキングや薄い布をかぶせてから使ってください

ここまでで足りなければ、専用品を足す価値が出てきます。以下は「掃除のどの工程を担うか」で選んでいます。ランキングではありません。

ホコリを落とす:かき出してから吹き飛ばす

この2工程は順序が決まっています。先にブラシ、あとからエアダスターです。

理由は単純で、風は「浮いているホコリ」しか動かせないから。キーの谷に静電気で貼りついた粉塵は、先に物理的に浮かせないと飛びません。逆順でやると、風で飛ばなかった汚れの上に、飛ばしたホコリが乗るだけです。

かき出す:キーを外せない機種の第一手

サンワサプライ

CD-BR14GYN

総合評価4.2/5

評価

除去力
3.5/5
機器へのやさしさ
4.5/5
手軽さ
5/5
ランニングコスト
5/5
用途の広さ
4/5

こんな人にパンタグラフやノートPCでキーキャップを外せない人。エアダスターの前に一手だけ入れたい人

ここが良い

  • 導電性繊維入りで静電気を逃がす。ふつうの化繊ブラシのように「払ったそばからまた吸い寄せる」を減らせるとメーカーが説明している
  • ブラシ本体と20mmの隙間ブラシの2つを持つ。面を払う作業と、キーの谷をかき出す作業を持ち替えなしでこなせる
  • 毛が当たるだけなので、風圧でパンタグラフの爪を痛める心配がない。キーを外せない機種の第一手として使える
  • 消耗品ではない。汚れたら手洗いして戻せるので、買い切りで長く使える
  • 45gと軽く、デスクの端に置きっぱなしにしても邪魔にならない。週1の軽い掃除が続けやすい

ここは惜しい

  • かき出すだけの道具で、飛ばす力はない。かき出したホコリを最後に吸うか吹くかしないと、隣のキーに移すだけで終わる
  • キーの奥深く(スイッチの下やパンタグラフの内側)には毛先が届かない。表層の掃除に用途が限られる
  • 皮脂やこぼした飲み物の固着には無力。乾いた粉塵と髪の毛が主な相手だと割り切る必要がある
  • 洗った後は完全に乾かしてから使う手間がある。乾ききらないまま基板側に触れさせるのは避けたい
  • 不要になれば使い古しの歯ブラシやメイクブラシでも似た作業はできる。除電機能に価値を感じないなら買う理由が薄い

導電性繊維を毛に混ぜた除電ブラシです。ふつうの化繊ブラシは払うそばから静電気でホコリを吸い戻しますが、それを抑えるとメーカーが説明しています。 70mmのブラシ部で面を払い、20mmの隙間ブラシでキーの谷を突く、という2役を持ち替えなしでこなせます。

パンタグラフの人にとっては、この道具が主戦力になります。毛が当たるだけなので、風圧で爪を痛める心配がない。 45gと軽く、デスクの端に置いておけば週1回の習慣にしやすい重さです。

欠点もはっきりしています。かき出すだけで、飛ばす力はありません。 浮かせたホコリを最後に吹くか吸うかしないと、隣のキーへ移して終わります。スイッチの下には毛先が届かず、皮脂や飲み物の固着にも無力です。そして正直に書けば、使い古しの歯ブラシでも似た作業はできます。 除電機能に価値を感じないなら買う理由は薄いです。

吹き飛ばす:エアダスターは「向き」で結果が変わる

ここが手順記事として最も伝えたいところです。キーボードは、立てるか伏せてから吹いてください。

机に置いたまま上から吹くと、表面のゴミがキーの隙間から内部へ押し込まれるだけになります。数か月後、内部に溜まったゴミがスイッチの動作を邪魔し始めます。掃除したつもりで悪化させる典型がこれです。

正しい向きは「重力でゴミが落ちる方向」です。キーボードを立てるか、斜めに傾けるか、伏せて裏側から吹く。吹いた先に落ちる場所を作ってから始めます。 床に新聞紙を敷いておくと後片付けが早く終わります。

電動タイプ:頻度を上げる人向け

エレコム

AD-ALB01BK

総合評価4.3/5

評価

除去力
4.5/5
機器へのやさしさ
3.5/5
手軽さ
4/5
ランニングコスト
5/5
用途の広さ
4.5/5

こんな人に月1回以上のペースでキーボードを吹きたい人。ガス缶を買い足す手間とゴミを止めたい人

ここが良い

  • ガス缶と違って残量を気にせず使い切れる。充電すれば繰り返し使えるので、掃除の頻度を上げても追加コストがかからない
  • 風力3段階。強で奥のホコリを飛ばし、弱でパンタグラフなど繊細な部位に寄せる、という使い分けができる
  • 極細ノズルとブラシ付きノズルが付くので「かき出してから飛ばす」を1本で完結できる。キーの隙間を照らすLEDライトも付く
  • 缶と違って冷えない。液化ガスの吹き出しによる結露・凍傷のリスク自体が構造上ない
  • 気圧の関係で飛行機に持ち込めない缶と違い、外出先の掃除にも持ち出せる

ここは惜しい

  • メーカー公表値で約420g。缶より重く、片手で長時間構えると手首に来る。腱鞘炎持ちには向かない
  • 動作音が公表値で78〜80dB。掃除機並みで、夜間や同居人がいる部屋では使いにくい
  • 強モードの風はパンタグラフの爪やメカニカルのスタビライザーには強すぎる。至近距離から強で吹くと部品を吹き飛ばす/変形させる恐れがある
  • 缶より初期費用が高い。年に1〜2回しか掃除しないなら缶2本セットのほうが総額で安く済む
  • 充電を忘れると使えない。思い立ったときに掃除できる手軽さでは缶に負ける

2024年10月発売のUSB充電式です。メーカー公表値で風速は弱 約22.5m/s〜強 約28m/s、連続使用は弱で約25分。残量を気にせず吹き切れるのが缶との最大の差で、頻度を上げても追加コストが出ません。ノズル3種とLEDライトが付き、缶のように冷えないので結露や凍傷のリスクが構造上ありません。

欠点は3つ。質量が公表値で約420gあり、片手で構え続けると手首に来ます。動作音がメーカー公表で78〜80dBと掃除機並みで、夜間や同居人がいる部屋では使いにくい。打鍵音を気にして静音キーボードを選んだ人が掃除でこの音を出すのは、やや本末転倒です(音の考え方は打鍵音がうるさいときの対策に書きました)。

そして強モードの風は繊細な部位には強すぎます。 至近距離から強で吹くと、パンタグラフの爪やスタビライザーを変形させる可能性があります。距離を取り、弱から始めてください。

缶タイプ:年に数回で十分な人向け

サンワサプライ

CD-31SET

総合評価4/5

評価

除去力
4/5
機器へのやさしさ
3.5/5
手軽さ
5/5
ランニングコスト
2.5/5
用途の広さ
4/5

こんな人に掃除は年に数回で十分な人。まず1本だけ試して、続くようなら電動に移りたい人

ここが良い

  • 逆さにしても液化ガスが噴き出さない構造。キーボードを立てて裏から吹くとき、缶の角度を気にせず作業できるのが実用上いちばん効く
  • キャップを外して吹くだけ。充電も準備もいらず、思い立った瞬間に掃除を始められる
  • ノンフロンで地球温暖化係数はメーカー公表で1以下。使い捨て前提の道具としては環境負荷が抑えられている
  • 2本セットなので、1本を予備に回せる。キーボード以外にPCの吸気口やカメラのレンズ周りにも使い回せる
  • 付属の細いノズルチューブでキーの列と列の間を狙える。電動の太いノズルより奥を突ける場面がある

ここは惜しい

  • メーカーがガス組成をDME(可燃性)と公表している。火気厳禁で、換気しながら使う必要がある。密閉した部屋で連続噴射するのは危険
  • 使い捨て。掃除の頻度が上がるほど買い足しが要り、空き缶の廃棄(ガス抜き)も毎回発生する
  • 連続で吹くと缶が急激に冷える。冷えると噴射圧が落ちるうえ、長く握ると凍傷のおそれがある
  • 一気に吹くとホコリを内部の奥へ押し込むだけになりやすい。キーボードは伏せてから吹く前提の道具で、置いたまま上から吹く使い方には向かない
  • 飛行機に持ち込めず宅配便でも扱いが限られる。出張先で使いたい人には不向き

逆さにしても液化ガスが出ない構造が、この製品を選ぶ理由です。キーボードは立てるか伏せて吹くので、缶の角度を気にせず作業できることが実用上いちばん効きます。 缶を寝かせた瞬間に冷たい液体が噴き出す製品では、この持ち方ができません。ノンフロンでGWPはメーカー公表で1以下。2本セットなので1本を予備に回せます。

使い捨てなので、掃除の頻度が上がるほど買い足しと空き缶のガス抜きが発生します。月1回以上のペースで掃除する人は、総額で電動に負けます。 逆に年1〜2回なら、電動の初期費用を回収できません。ここが2製品の分岐点です。

外す:外していい機種だけの最終手段

判別で「外していい」側だった人だけが、この工程に進めます。

サンワサプライ

TK-013

総合評価3.8/5

評価

除去力
4.5/5
機器へのやさしさ
2.5/5
手軽さ
2.5/5
ランニングコスト
5/5
用途の広さ
2/5

こんな人にメカニカルやメンブレンのキーキャップを外して丸洗いしたい人。対応機種かどうかを先に確認できる人

ここが良い

  • キーキャップを外せば、エアダスターでもブラシでも届かない土台の溝まで一気に露出する。掃除の到達点が根本的に変わる
  • メーカーが非対応の条件(接着式・パンタグラフ式・底辺の幅が短いもの)を明示している。買う前に自分のキーボードで使えるか判断できるのが大きい
  • 4gで、使わないときはキーボードの箱にでも放り込んでおける。工具としての置き場所に困らない
  • キーの隙間に落ちた小物(クリップ、パンくず、猫の毛玉)を取り出すときにも使える
  • 消耗品ではないので一度買えば長く持つ。キーキャップ交換をする人ならそのまま流用できる

ここは惜しい

  • パンタグラフ式には使えないとメーカーが明記している。ノートPCや薄型キーボードで無理に使うと爪が折れ、キーが戻らなくなる。ここを読み飛ばす人には勧められない
  • 全キーを外して洗って戻すのは相応の時間がかかる。事前に配列を撮っておかないと戻せなくなる
  • スペースキーやEnterキーなど、スタビライザー付きの大きいキーは外し方が別。この工具1本で全部が片付くわけではない
  • 静電容量無接点(REALFORCE・HHKB)はキーキャップの下にコニックリングやスライダーがあり、外し方も戻し方も別扱いになる。メーカーの手順に従う必要がある
  • キーキャップを水洗いした場合、完全乾燥まで丸1日程度みる必要がある。その間キーボードが使えない

キーキャップを外すと、エアダスターでもブラシでも届かない土台の溝が全部露出します。 掃除の到達点が根本的に変わるのがこの工程です。4gの小さな工具で、キートップの上から奥まで押し込んでから引き抜きます。

この製品を選んだ最大の理由は性能ではなく、メーカーが非対応条件を明示していることです。接着式・パンタグラフ式・底辺の幅が短いもの。買う前に自分のキーボードで使えるか判断できる工具は多くありません。仕様表に何も書かないノーブランド品では、この判断自体ができません。

作業の注意点を3つ。

  • 外す前に配列を撮影する — 日本語配列は記号キーの位置が記憶に残りにくく、撮っていないと戻せなくなります
  • 大きいキーは別扱い — スペース、Enter、Shift、Backspaceにはスタビライザーが入っており、外し方も戻し方も違います。自信がなければ触らない選択でかまいません
  • 水洗いしたら丸1日乾かす — 内部に水が残ったまま戻すと、そこから腐食します。その間キーボードは使えません

キーキャップを外す作業そのものと、印字方式や素材の話はキーキャップ交換の記事に詳しく書いています。掃除のついでにキーキャップを新調するなら、外す作業は1回で済みます。

拭く:仕上げは最後に一度だけ

物理的なゴミを落とし終えてから、皮脂と手アカを拭き取ります。順序を逆にすると、湿った面にホコリが貼りついて余計に汚れます。

エレコム

WC-AL20LPN

総合評価3.7/5

評価

除去力
4/5
機器へのやさしさ
3/5
手軽さ
4.5/5
ランニングコスト
3/5
用途の広さ
4/5

こんな人にキートップの皮脂テカリと手アカを落としたい人。クロスを都度洗うのが面倒な人

ここが良い

  • アルカリ電解イオン水が主成分で界面活性剤不使用。洗剤成分をキーの隙間に残さずに皮脂を浮かせられる
  • 200×300mmの大判厚手。1枚でキーボード全面を拭き切れるので、途中でシートを替えて手が止まらない
  • 帯電防止をうたっており、拭いた直後にホコリを吸い寄せにくい。掃除の持ちが変わる
  • キーボード以外にマウス、デスク、プリンターの筐体にも使える。1パックで周辺機器をまとめて片付けられる
  • 水に濡らしたクロスと違って絞る手間がない。拭いたら捨てるだけなので掃除の腰が軽くなる

ここは惜しい

  • 主成分にエタノールを含む。パッド印刷や塗装でキーの文字を入れている機種では、印字が薄くなるおそれがある。二色成形や昇華印刷でない限り、目立たないキーで先に試すべき
  • メーカーがモニター画面には使えないと明記している。同じ1枚でディスプレイまで拭くという使い方はできない
  • 20枚入りで、頻繁に使うとすぐなくなる。ランニングコストは水で湿らせたマイクロファイバークロスに完全に負ける
  • 水分が多い。キーの隙間から液が入らないよう、シートを軽く絞ってから使う配慮がいる。通電状態のまま拭くのは論外
  • ホコリを取る力はない。あくまで「エアダスターとブラシで物理的なゴミを落とした後」の仕上げ用で、これ単体では掃除が完結しない

アルカリ電解イオン水が主成分で、界面活性剤は不使用。洗剤成分をキーの隙間に残さずに皮脂を浮かせられます。 200×300mmの大判厚手で、1枚でキーボード全面を拭き切れる大きさです。帯電防止をうたっており、拭いた直後にホコリを吸い寄せにくいとされています。

弱点は明確で、20枚入りの消耗品です。ランニングコストでは水で湿らせたマイクロファイバークロスに完全に負けます。水分も多いので、シートを軽く絞ってから使ってください。そしてホコリを取る力はありません。 これ単体では掃除が完結しない、仕上げ専用の道具です。

手首が当たる手前側のフチだけ黒ずむ人は、キーボードではなくパームレスト側の問題であることが多いです。素材ごとの汚れ方はパームレストの記事に書きました。

頻度の目安と、道具の使い分け

公式に推奨頻度を出しているメーカーはほとんどありません。以下は汚れ方から逆算した目安です。

工程 目安 使う道具 所要時間
逆さにして叩く 週1回 手だけ 1分
表面を払う 週1回 除電ブラシ 2〜3分
隙間を吹く 月1回 エアダスター 5分
全体を拭く 月1回 ウェットシート 3分
キーを外して洗う 半年〜1年に1回 引抜工具 2時間+乾燥1日

机で食事をする、ペットがいる、喫煙する。このいずれかに当てはまるなら、すべての間隔を半分にしてください。

道具の使い分けは次のとおりです。

  • パンタグラフ・ノートPCの人 — 除電ブラシ+エアダスター(弱)+ウェットシート。引抜工具は買わない
  • メカニカル・メンブレンの人 — 上記に引抜工具を足す。年1回の全バラしで到達点が変わります
  • 静電容量無接点の人 — キーを外す工程だけメーカーの手順書に従う。他は同じ
  • エアダスターの選択 — 月1回以上なら電動、年1〜2回なら缶。頻度で分岐します

なお、キーボードの下に敷くマットを替えるとホコリの発生源そのものが減ります。 布系は繊維が舞うので、掃除の頻度を下げたいなら合成皮革やPUの面が有利です(デスクマットの比較に素材ごとの違いをまとめています)。

まとめ

工程のうち、取り返しがつかないのは最初の2つだけです。

  1. 外していい機種か判別する — パンタグラフは外さない。TK-013の非対応条件がそのまま判断基準になります
  2. 電源を切る — 通電の有無で、直る故障が直らない故障に変わります

残りは「叩く→かき出す→吹く→拭く」の順に進めるだけで、失敗しても損失は数百円で収まります。そして1と2は、道具を買わなくてもいまできます。 判別と電源断を飛ばさないことが、この記事でいちばん伝えたい点です。

よくある質問

キーキャップは全部外して洗ってもいいですか?
キーボードの方式によります。メンブレンやメカニカルの標準的なキーキャップは引抜工具で外せますが、パンタグラフ式は外すと支持部の細い爪が折れ、キーが戻らなくなります。サンワサプライは引抜工具TK-013の非対応条件として、接着されているもの、パンタグラフ式(ノートパソコン)、キートップ底辺の幅が短いものを公表しています。静電容量無接点はキーキャップの下にコニックリングやスライダーがあるため、メーカーの手順に従ってください。
エアダスターはどの向きで吹けばいいですか?
キーボードを立てるか伏せて、ホコリが重力で落ちる方向に吹きます。机に置いたまま上から吹くと、表面のゴミを内部の奥へ押し込むだけになります。缶タイプは製品によって傾けると液化ガスが出るものがあるので、逆さ使用に対応しているかを仕様で確認してください。電動タイプでも、至近距離から最大風量を当てるとパンタグラフの爪やスタビライザーを傷める可能性があるため、距離を取って弱い風から始めるのが安全です。
電源を入れたまま拭いてもいいですか?
やめてください。水分がキーの隙間から基板に届いたとき、通電していると回路がショートして故障が確定します。通電していなければ、完全に乾かすことで復帰する望みが残ります。有線はUSBを抜き、無線は電源スイッチを切って可能なら電池を外し、ノートPCはシャットダウンしてから作業してください。液体をキーボードに直接かけるのも避け、シートやクロス側に水分を持たせて拭きます。
掃除はどのくらいの頻度でやればいいですか?
公式の推奨頻度を出しているメーカーはほとんどないため、汚れ方から逆算するのが現実的です。目安としては、ブラシで表面を払うのは週1回、エアダスターで隙間を吹くのは月1回、キーキャップを外す本格的な掃除は半年から1年に1回程度です。机で食事をする、ペットがいる、喫煙するといった条件があれば、いずれも間隔を短くしてください。
ウェットティッシュでキーの文字が消えることはありますか?
あります。エタノールを含むシートは、パッド印刷で文字を載せている安価なキーキャップの印字を薄くすることがあります。二色成形や昇華印刷は樹脂そのものに文字があるので消えません。自分のキーボードの印字方式が分からない場合は、裏面や普段見ない位置のキーで先に試してから全体を拭いてください。ノンアルコールの電解水タイプを選ぶという回避策もあります。

この記事を書いた人

midori

PC周辺機器の仕様と売れ筋データを読み比べて、用途別の選び方に落とし込んでいます。実機を入手した製品は、記事にその旨を明記しています。

  • メーカー公表値と売れ筋データを突き合わせて比較
  • 欠点を長所と同じ密度で書く

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